第一の茶亭「松琴亭」
桂離宮の池の周囲には、四つの茶亭があります。そのうちの1つである「松琴亭(しょうきんてい)」は、最も格の高い茅葺入母屋造りの茶亭。池に架かる石橋を渡ってこちらへと向かいます。
が、その前にガイドさんから「橋の上では写真撮影をしないように」と注意がありました。過去に何人も、撮影に夢中になりすぎて池に落ちた参観客がいたそうですよ!すらりと伸びた石橋には欄干などありませんので、気を引き締めて渡りましょう。
「琴の音のような松風」という意味の松琴亭は、南は築山、東・北・西は池に面しており、自然と調和した静かなたたずまいに和みます。
一方、屋内は大胆な内装に釘付けになります。
「一の間」の床の間の貼り付け壁と、「二の間」との境のふすまは、大きな青と白の市松模様になっているのです。かっこいい!
ハイセンスな配色がアクセントになっている一の間を見て、これを創案したという智忠親王は、どんな意味を込めてこのデザインにしたのだろう...と思いを馳せてしまいました。
にじり口から覗いた茶室は、あちこちに配された窓が印象的。遠州好みの「八窓の囲い」と言われるそうです。正面の中柱は、曲がったところにほんの少し小枝が残されていて、これは茶入れの袋を架けるためのものだそうですよ。
第ニの茶亭「賞花亭」
松琴亭の次は、池の周囲をめぐりながら第ニの茶亭「賞花亭(しょうかてい)」へ向かいます。
途中、両端を苔で覆われた土橋や飛び石が軽やかに配置された道を歩くのが何とも風流です。小路の灯籠ひとつに至るまで洗練されています。
離宮内は起伏に富んでいるので、歩きやすい靴で訪れるのがおすすめです。
賞花亭は離宮のなかで最も高い場所にあり、峠の茶屋のような雰囲気。竹の連子窓と下地窓にしみじみとした趣を感じます。
何よりこの高さから見る池と小島がめぐる庭の景色が素敵!深い山の中から別の世界を見るような気持ちになりますよ。