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貴人をお迎えする御幸道・御幸門
外腰掛から州浜へ...天の橋立がある池
貴人をお迎えする御幸道・御幸門
桂離宮は17世紀のはじめ、後陽成天皇の弟にあたる八条宮(はちじょうのみや)初代智仁(としひと)親王により、宮家の別荘として創建されました。その後、二代智忠(としただ)親王が整備・増築を進め、ほぼ現在の姿の離宮を完成させます。
参観客が、ガイドさんについてまずぞろぞろと歩くのは「御幸道(みゆきみち)」。玉石を手作業で敷き並べて固めた、「あられこぼし」という小路が美しく、足元からも端正な別荘であることを実感します。
それもそのはず、この「御幸道」と、その先にある「御幸門(みゆきもん)」」は、智忠親王が後水尾天皇をお迎えするために造ったもの。ガイドさんの「ここを通れるのは高貴な人だけでした」という言葉に納得です。一市民の自分が、今この道を踏みしめることに喜びを感じましたよ。
なお、参観中は敷石の上を歩き、苔を踏まないようにと、ガイドさんから何度も注意がありました。桂離宮の風情ある景色は、よく手入れされた苔が重要な役割を担っているのです。
外腰掛から州浜へ...天の橋立がある池
御幸道の中ほどから左に曲がり離宮の苑内に入ると、外腰掛(そとごしかけ)という茅葺屋根の簡素な建物があります。茶室へ行く前の待合所です。
目の前に大きな自然石と切り石を絶妙に組み合わせた「延段」と呼ばれる小路が延びています。そばには二重枡形の手水鉢も設置されており、風情があります。
延段を左折して飛び石の道を進むと、視界が急に開けて大きな池が広がります。
池に突き出た手前の岸辺は、黒く平らな石が敷き詰められた「州浜」。先端に立つ石灯籠を灯台に見立ててあり、この池全体が海を表しているのです!
石灯籠の先の小島である「中島」は石橋で北側の小島とつながっており、天の橋立を見立てたものと言われています。独創的で悠々とした眺めに圧倒されますよ。池の向こうには茶室「松琴亭」が美しい姿を見せています。