過去に暴落が起きた株式銘柄たち
では、ここからは過去に暴落が起きた株式銘柄を日本市場とアメリカ市場から1銘柄ずつピックアップしていこう。
オンキヨー:価値が1,500分の1に
「ONKYO」のロゴは、日本人であればほとんどの人が目にしたことがあるはずだ。オンキヨーホームエンターテイメントは上場企業だったが、2021年8月1日に債務超過で上場廃止となった。
このオンキヨーホームエンターテイメント、上場廃止になるまで株価が下落の一途をたどっている。2017年には1株1,500円台をつけたオンキヨーホームエンターテイメントの株式は、上場廃止直前は1円まで値を落とした。価値が1,500分の1になったわけだ。
もしあなたが1,500万円の資金を2017年の最高値付近で投資していたら、価値が1万円にまだ落ちたことになる。この記事のタイトルにもあるように、老後資金が逝って しまったといっても言い過ぎではないだろう。
シルバーゲートキャピタル:最高値から99%近い下落
続いて紹介するのは、シルバーゲートキャピタルというアメリカの銀行株だ。ティッカーシンボルは「SI」で、暗号資産(仮想通貨)関連の事業を展開している銀行として知られており、過去には仮想通貨ブームにのり株価が急騰していた時期もあった。
しかし、仮想通貨相場の下落とともにこの銘柄の株価は落ち込む一方で、2021年11月時点では1株230ドルを超えていたのに、2023年の3月中旬時点では株価はなんと1桁ドル台にまで落ち込んでいる。最高値から比べると、ほぼ99%近い下落となっており、もしあなたがこの銘柄の高値づかみをしていたら、今ごろ頭を抱えているはずだ。
2023年に入っても株価の低迷は続いていたが、決定打となったのが3月2日の値動きだ。事業存続などに関する不安が個人投資家の間で広がったことから、株価は1日で50%以上下落するに至った。
危ないのは「株式」だけではない⁉
このように、個別銘柄に投資していると大暴落に見舞われ、一点集中で投資をしていると老後の資産が「ほぼゼロ」といっていいほどまでに価値が下がることがある。
個別銘柄への投資にこだわる場合でも、1銘柄ではなく、少なくとも数銘柄、できれば十数銘柄ほどに分散投資するほうが無難だろう。
最後に1つ、記事の冒頭、株式投資よりも投資信託への投資のほうが堅実だという話をした。しかし、投資信託でも大暴落に見舞われているものがあることは、ぜひ知っておいてほしい。その代表格が「レバナス」だ。
レバナスの悲劇
アメリカ市場に上場している投資信託(ETF)で「TQQQ」という銘柄がある。このETFはハイテク株中心に構成される株価指数「ナスダック100」の値動きの3倍への連動を目指しているETFだ。ナスダック100指数にレバレッジをかけていることから、「レバナス」などと呼ばれることが多い。
そもそもナスダック100は株価指数の中でも値動きが激しいことで知られており、それに「3倍」というレバレッジをかけているため、TQQQは個別銘柄のような激しい値動きをする。
TQQQは2021年11月に91ドルの最高値をつけたが、現在は20ドルほどだ。4分の1以下に価値が下がったことになる。
年を重ねると失敗を取り戻しにくくなる
老後のための資金を増やす際には「堅実性」が何より求められる。基本的に老後が近づくにつれて個人の「稼ぐ力」が落ちていくことから、一度大きな失敗をするとその失敗を取り戻すための資金(元手)を確保しにくくなるからだ。
個別銘柄やレバナスなどのETFで老後のための資産が逝かない よう、要注意を。
文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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