人が主体性を失う根本理由とは
目をキラキラさせて趣味のお話をされる下川課長を拝見し、私は確信しました。
この人には間違いなく「リーダーシップ」があるな、と。しかもそれは、人に影響を与え牽引していく「先導型リーダーシップ」があると確信しました。
私はリーダーシップには4つのタイプがあると見ています。
① ⽬的に向かい道を開拓するフロントランナー(先導者)
② 物事の本質を探究し進化させるデベロッパー(探究者)
③ 場が明るく楽しく元気になるムードメイカー(調和者)
④ ⼈の可能性を引き出し後押しするサポーター(尊重者)
下川課長は恐らく、この4つのタイプで言えば下の2つ「調和者」か「尊重者」のリーダーを目指したのでしょう。しかしそれは彼の素質とは明らかに逆行していたのです。
ここで、「素質」も定義しておきましょう。
「素質」をご理解いただくために、「素養」と対比し説明します。
まず、「素」とは「手を加えていない本質・もとからの」という意味を持ちます。
素養:努力して身に付けた能力
そのため素養とは、普段から養われてきた(育て上げてきた)知識や能力を意味する言葉になります。
素質:先天的に持つ、素の性質や力
素質の質という漢字は「生まれつき」という意味を持ちます。そのため素質とは、もとから生まれつき持っている性質を意味する言葉になります。
「素質」とは、その人が先天的に持っている力(才能)や魅力であるので、少し努力を続ければグングン伸びる性質があります。
人は、自分の素質を活かすことができれば活き活きします。しかし、素質とは真逆な生き方をすると、途端にエネルギーが減退するのです。
もともと人間が持っているはずの主体性が失われる根本的な原因の1つがこれです。
「素質を活かさない=自分を活かさない」ということです。
自分が自分であるための大事な要素を活かさないということ。つまり、それは「本来の自分ではない別者として生きる」ことになります。
その生き方によって、私達は「生きる気力」を失われていきます。そして当然のごとく、主体性を失います。
素質の源を掘り起こそう
元々、すべての人には素質があります。
それを正しく理解し、自分の素質を活かす人生・自分の素質を伸ばし続ける人生こそが、人の魅力と活力を開花させます。
私は下川課長に尋ねました。
竹内「下川さんの人生理念は何ですか?」
人生理念、それは「素質を掘り起こす源」です。「人生において、どんな生き方のできる自分であると幸せか」を言語化したものです。
下川課長「私は趣味が充実していればそれで良いです」
竹内「では、趣味に向かっている下川さんは、どんな生き方ができていますか?」
下川課長「明るいですね。すべてが明るいです。趣味の時間は私にとってはとても明るい時間です。」
「明るい」、とても単純ですが、下川さんがその言葉を使うと本当に空気が明るくなりました。きっとこの空気感でいつも趣味を楽しんでいらっしゃるのでしょう。
竹内「下川さん、その明るさを仕事で発揮してみませんか?私は、下川さんがその明るさでお仕事に向かえば、下川さん流のリーダーシップが発揮できると確信しています。」
私はこのようにお伝えしましたが、当然ですが、そんな私の言葉も最初は下川課長には届きませんでした。
下川課長「いやいやそんなのは無理ですよ。仕事では明るくなれません。そこまでの意欲がもうありませんし」
竹内「でもせっかく3ヶ月限定のコーチングなのですから、騙されたと思って私の言うことを試してみませんか?簡単なことです。毎日『明るい』という言葉を呟きながら仕事に向かうだけです。仕事中、できるだけずっと心の中で呟き続けるだけです。思い出した時で結構ですから。」
と私が少し強引に提案すると、「そこまで言われるなら、やるだけやってみましょう」ということになりました。