社員に主体性を発揮してもらうことは、組織や個人の目標を達成したり、課題を解決したりするうえで非常に重要な要素になります。しかし、多くの経営者や管理職が「メンバーの主体性を引き出す」ことに頭を悩ませているのが現状なのではないでしょうか。
組織は、様々な個性を持つ人の集まりのため、仕事に対する価値観や姿勢は各自で異なります。そのため、主体性がない社員もいて当然ではあるものの、経営者は特に全員が主体性を持って欲しいと思うものです。
果たして、どのような働きかけを社員に行うと主体性は高まっていくのでしょうか。
そこで今回は、「人間の本質(Human Nature)」をビジネスに活かす組織戦略家集団である株式会社ITSUDATSUのKANAME Data Campus研究所長の竹内直人氏に、「従業員の主体性は、本当に伸びるのか」という内容でご寄稿いただきました。
社員の主体性が足りないとお悩みの経営者や管理職に非常に参考となる記事となっています。
主体性は「伸びる」ものか
「人の主体性とは、どうすれば伸びるのか?」とよくご質問をいただきます。
しかし、実はこの問いは、少々本質とずれがあります。
「人はもともと主体的だから」です。
幼い子どもの頃、私たちは皆、主体的に遊びました。指示や命令に従って受動的に遊ぶ子は、通常はいません。
最初は「誰しもが主体的」なのです。
ところが年齢を重ね、学校生活を経て、社会に出て、様々な経験を積んでいくという過程の中で私たちは自分の本来持っている主体性をいつの間にか忘れてしまいます。
やりたいことだけをすれば良い、というほど人生は甘くありません。
学校生活や社会人でのビジネスの経験の中で、やらなければならないことを「やりなさい」と言われ続けているうちに、人は「面倒臭い」となってしまいます。人は受動的になればなるほど「面倒臭さ」をより多く感じるようになります。
そして、最悪の場合、「生きること自体が面倒臭い」とまでなってしまうこともあります。その状態で社会人として働いている人は、想像以上に多いのです。
アメリカの世論調査及びコンサルティングを行う企業のギャラップ社が全世界1300万人のビジネスパーソンを調査したサーベイによると、日本企業はエンゲージメントの高い「熱意あふれる社員」の割合が6%で、米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位レベルでした。
そういうわけで、日本人は仕事への主体性がないことで悩むわけです。
さて、最初の質問を、少し修正しましょう。これが、本質的な問い方ではないでしょうか?
「人はどうすれば、本来持っているはずの主体性を取り戻せるのだろうか?」
これについては、様々な答えがあると思いますが、そのうちの1つを、今回はご紹介します。