【よくある誤解①】成長投資枠で投資できる商品は一般NISAと同じ
現行の一般NISAは「成長投資枠」に名称が変わり、年間投資枠は2倍の240万円に拡大する。「成長投資枠で投資できる商品は一般NISAと同じ」と思っているかもしれないが、それは誤解だ。
新NISAの成長投資枠では、①監理・整理銘柄、②信託期間20年未満、高レバレッジ型および毎月分配型の投資信託は除外される。一般NISAに比べると、対象商品に制限があるので注意しよう。
ちなみに、「成長投資枠では、つみたて投資枠(つみたてNISA)の対象商品に投資できない」というのもよくある誤解だ。実際は、成長投資枠でもつみたて投資枠と同じ商品を買える。
例えば 、「つみたて投資枠で全世界株式インデックスファンドを積み立て、まとまったお金ができたら成長投資枠で同じファンドを一括購入する」といった使い方が可能だ。
【よくある誤解②】生涯投資枠はつみたて投資枠600万円、成長投資枠1,200万円
新NISAでは、新たに生涯投資枠1,800万円が設定される。生涯投資枠の内訳は、「つみたて投資枠600万円、成長投資枠1,200万円」と誤解されることが多い。しかし、実際はつみたて投資枠だけで1,800万円を使える。
生涯投資枠1,800万円のうち、成長投資枠として使えるのは1,200万円までとなっている。一方、つみたて投資枠に内数は設定されておらず、成長投資枠との合計で1,800万円まで投資できる。仮に成長投資枠で200万円投資した場合、残り1,600万円は全てつみたて投資枠で使うことが可能だ。
【よくある誤解③】保有商品が値上がりしたら、生涯投資枠1,800万円を使い切ってしまう
新NISAは、「保有商品が値上がりしたら、生涯投資枠1,800万円を使い切ってしまう」と心配している人もいるかもしれないが、これもよくある誤解の1つだ。
新NISAの生涯投資枠1,800万円は、簿価残高方式(投資元本ベース)で管理される。新NISAで購入した株式や投資信託が値上がりして時価が1,800万円を超えたとしても、生涯投資枠には影響しない。
例えば、つみたて投資枠で累計1,000万円分の投資信託を購入し、時価が2倍の2,000万円になったとしよう。この場合、生涯投資枠1,800万円のうち1,000万円を使っている状態なので、投資枠にはまだ800万円の空きがある。
【よくある誤解④】保有商品を売却したら、すぐに枠が復活して再利用できる
新NISAでは、生涯投資枠が投資元本ベースで管理される。保有商品を売却すれば、枠に空きが生じて再利用が可能だ。ただし、生涯投資枠が復活するのは翌年なので、売却してもすぐに再利用できるわけではない。売却から再購入できるようになるには、時間がかかるので注意しよう。
「投資元本ベースで1,000万円分売却すれば、翌年に1,000万円分購入できる」と思うかもしれないが、これも誤解だ。売却によって生涯投資枠に空きが生じても、翌年に投資できる金額は年間投資枠360万円が上限となる。
これらのルールには、新NISAにおける短期の回転売買を防止する狙いがあると考えられる。
【よくある誤解⑤】現行NISAを利用したら、新NISAの非課税枠が減ってしまう
「現行のつみたてNISAや一般NISAを利用したら、新NISAの非課税枠が減ってしまう」と思っていないだろうか。現行NISAと新NISAは別枠で管理されるため、つみたてNISAや一般NISAでの投資分は、新NISAの非課税枠にはまったく影響しない。
現行NISAで新規購入できるのは2023年末までだ。2023年までに購入した商品は、現行の非課税措置が適用される。例えば、2023年に一般NISAで購入した商品は2027年まで(5年間)、つみたてNISAは2042年まで(20年間)非課税で継続保有できる。
2023年中に現行NISAを始めれば、生涯のうちに非課税で投資できる金額を増やせる。今のうちに現行NISA口座を開設すれば、新NISA口座は自動的に開設される。 「NISAで投資を始めたい」と思っているなら、2024年の新NISAを待つのはもったいない。すぐに始めよう。
新NISAはいつから始まる?どんな制度?現行との違いは?分かりやすく解説
制度内容を正しく理解して、2024年から始まる新NISAをうまく活用しよう
新NISAでは非課税で保有できる期間に制限がなくなり、投資枠も大幅に拡大される。多くのメリットがあるので、個人が資産形成に取り組むなら新NISAを最大限活用するべきだ。ただし、制度内容を間違って理解するとうまく利用できず、思うような成果を得られない恐れがある。
2024年から新NISAをうまく活用するためにも、今のうちに制度内容を正しく理解しておこう。
執筆・大西勝士
AFP、金融ライター。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。FP資格や投資経験をもとに、大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。
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