【成長戦略】

次に成長戦略について質問します。

経済成長による歳入増を目指すのであれば、GX・DX・イノベーション・スタートアップ等への支援も大事ですが、それ以上に、現時点で存在している、自由な市場開拓を阻止している「岩盤規制」の改革を進めることが極めて肝要と考えます。演説では何点か「規制改革」に触れられておりますが、肝心の「岩盤規制」には全く言及がありません。

農地の株式会社所有、地上波テレビにおける電波オークション、NHK分割民営化、新聞の資本規制、ライドシェア解禁、学校での画一教育改革、大学学部の新設、オンライン診療の本格解禁、保育:介護施設の各種基準の地方分権、解雇する場合の金銭保証のルール化、外国人医師・看護師などの受け入れ、政省令の条例による上書き等々、取り組まなければならないことが山積しています。

こうした状況にあるにも関わらず、政府は昨年末の国家戦略特区諮問会議で、兵庫県養父市に限って認めていた企業による農地取得の特例を全国展開しない方針を決め、地方自治体が規制緩和を提案し、国が認定する「構造改革特区」に基づく事業に移行することを決定しました。

そもそも国家戦略特区は、「自治体+官邸トップダウン」という仕掛けを設けて、自治体からのボトムアップ方式の構造改革特区だけで進まない規制改革を推進するという趣旨であったわけですが、今回の政府決定は、要するに「官邸は難題の岩盤規制改革からは手を引く」と宣言したものと受け止めざるを得ません。いわゆる「岩盤規制」改革について、総理は「新しい資本主義」の中のメニューの一つと考えているのか、あるいは総理が見直すとした「新自由主義的な経済政策」の一部と認識されているのか、どちらですか。お答えください。

総理は「能力向上支援」「日本型職務給の確立」「成長分野への円滑な労働移動」の三位一体の労働市場改革を加速すると述べましたが、円滑な労働移動については、企業の新陳代謝の促進や解雇規制の緩和、年功型の退職金税制の見直しなどが総合的になされなければ進みません。総理の認識をお伺いします。

【エネルギー】

次にエネルギー戦略についてお伺いします。

「GX実現に向けた基本方針」において、政府は従来の2030年度のエネルギー電源構成比の見直しは行いませんでした、基本方針に掲げるロードマップを各々実施していけば、目標は達成可能と考えているのか、あるいは相当無理はあるが、総力を挙げて達成に向けて知恵を絞るという内容なのか、後者の場合、最大のネックは何か、越えなければならない山はどこにあるのかについて、総理の見解をお伺いします。

基本方針においては、原発の2030年度時点での電源構成比率20~22%となっています。2021年度実績は約7%ですが、目標としている発電量を確保するためには、稼働原子力発電所は何基程度と想定しているのでしょうか。経産大臣お答えください。

政府は廃炉となる原発の次世代革新炉への建て替えや運転期間延長を進めるとしていますが、そのためには国の責任と覚悟が問われます。 施政方針演説では「国が前面に立って」という表現は最終処分事業を進める部分にしか使われていません。これまでのエネルギー政策を大きく転換する中、国の責任について、最終処分事業の促進は当然のこと、再稼働早期化や事故時の賠償責任についても、より国が責任を持つ体制にしていくべきと考えます。現在の中途半端かつ曖昧な責任体制について見直しの必要はないとの認識なのでしょうか、総理の認識をお尋ねします。

足許の電力供給の安定を図るためには、短期で実施可能なことはすべて実施していくべきです。まずは、原発においては新規制基準許可済みの7基、申請済みの10基の再稼働を極力前倒しすること、再生可能エネルギーについては、太陽光・水力について、まずは集中的な取り組みを行うことが最優先と考えますが、すぐに実施する各々に対する取り組みについて、経産大臣、お答えください。 また、仮にこの17基全部が再稼働した場合には、電気料金は具体的にどのぐらい下がると試算していますか、あわせてお答えください。

【外交】

外交に関して、総理にお尋ねします。

総理はウクライナを訪問する意思はありますか、お答えください。

その上で、更にお伺いします。今週に入り、総理のウクライナ訪問が検討されている旨、複数の大手紙が報じていますが、まさに防衛分野において、セキュリティクリアランスにおけるわが国の世界標準と比してのレベルの低さを各国から指摘されている現状において、こうした情報が洩れている可能性について、総理はどのように認識されていますか。つい最近では総理秘書官からのマスコミへの情報漏洩に関する記事も出ましたが、こうしたことに対する総理の認識と併せて答弁願います。

「自由で開かれたインド太平洋」ももちろん重要ですが、同時に、トルコといった親日国、あるいはタリバン政権樹立により苦しんでいるアフガニスタンの知日派への対応も強化すべきと考えます。ロシア周辺の親日国、あるいは知日派への日ごろの関係の強化やODAの更なる活用等について、総理の見解をお尋ねします。

【国会運営(憲法改正・身を切る改革)】

衆議院ではわが党が議席を大きく伸ばしたことにより、憲法審査会が毎週開催され、議論も活発に行われるようになりました。一方、残念ながら、参議院では開催頻度も少なく、内容についても、合区の件など、自分たち国会議員の身分に関わることばかりが議論されていて、具体的なゴールを目指して動いているとは到底思えません。参議院における憲法議論の実情について、総理の認識をお伺いします。

現在衆議院では、緊急事態条項について活発な議論が進んでいますが、肝心の自民党のスタンスが衆議院と参議院で一本化されていません。総理は自民党総裁でもありますが、こうした現状をどのように認識しているのですか。憲法改正を唱えるのであれば、自分のところの考えをまとめるのが筋ではありませんか。総理は国民に任期中での憲法改正を約束しましたが、これでは到底無理ではありませんか。総理の答弁を求めます。

国会改革への意識そのものが衆議院と比べて大きく遅れていると考えますが、歳出改革、行財政改革のために国会議員自身が覚悟を示すこと、そのためには総理あるいは自民党総裁が国会改革を躊躇なく進めることを明言すべきと考えますが、総理の見解をお伺いします。