■以下、質問全文
【つかみ】
日本維新の会の浅田均です。私は会派を代表して質問いたします。
総理は施政方針演説の冒頭部で声高らかに宣言されました。「これまでの時代の常識を捨て去り、強い覚悟と時代を見通すビジョンをもって、新たな時代にふさわしい社会、経済、国際秩序を創り上げていかなければなりません」と。
その言やよし。まさに、我々日本維所の会の主張と重なりあいます。しかし、そのあとがイケません。全くの竜頭蛇尾。新たな時代にふさわしい社会、経済、国際秩序を創り上げるため、つまり、理念と現実の溝を埋めるために、何をやるのか、何故やるのか、どのようにやるのか殆ど言及がなく、残念な施政方針演説に終わってしまいました。
この落胆を埋め合わせるために、総理、せめて一言、ウィズコロナの時代を切り拓く第一歩として、先ずは「卒業式はマスクを外してやりましょう」と仰っていただけませんか。中学校も高校も三年間です。その間、同級生や先生の顔をほとんど見ずに終わってしまうかもしれない児童、生徒たちのことを考えていただきたいのです。総理如何ですか、お答えください。
マスクだけではありません。捨て去ると言われましたが、時代の常識の中で、従来の仕組みや制度を抜本的に見直すこともなしに、相変わらず、既存の枠組みを微修正するだけの弥縫策ばかりが並んでいます。
既に持続可能性がないと国民に烙印を押されている社会保障制度を抜本的に見直すこともなく、規制改革も、いわゆる「岩盤規制打破」に真っ向から取り組まず、30年賃金が上がらない構造問題に正面から向き合うこともなく、異次元の子ども・子育て政策についてはこれから取り纏めと、残念ながら、「強い覚悟と時代を見通すビジョン」を感じることはできませんでした。
こうした問題意識から質問を続けます。「強い覚悟と時代を見通すビジョン」を国民が感じることができるよう、是非、官僚作文ではない、総理ご自身の言葉で答弁願います。
【財政規律】
さて、昨年12月の消費者物価指数は、前年同月比4.0%、生鮮食品及びエネルギーを除くコアコア指数は前年同月比3.0%上昇し、2022年の1年間の消費者物価指数は、前年から2.3%の上昇との発表が先日ありました。原材料費や燃料費の上昇に伴うコストプッシュに加え、円安要素も大きな要因となっている今般の物価上昇ですが、現時点において、わが国はデフレを脱却したのか、いまだ脱却できていないのか、総理の認識をお伺いします。
総理は先の国会において、国債の発行余力について、需給ギャップに言及されましたが、まずは、再度、国債の発行余力を判断する際の基準について、総理の見解をお伺いします。 その上で、先の臨時国会における2次補正予算も踏まえた、現在の需給ギャップ、足許の消費者物価指数を勘案した場合、現時点での国債の発行余力はどのぐらいあると認識されているか、総理の認識をお伺いします。
あわせて、臨時的な支出が発生する戦時を含む有事の場合と、平時の場合とで、国債発行額の上限についての考え方は同じなのか、異なるのか。防衛費増分の財源として国債発行を前提としないという政府方針との関連も含めて総理にお伺いします。
ここ数年、コロナ禍やウクライナ戦争等に伴う物価上昇に対する緊急経済対策等で国債発行額は大きく増加しましたが、今後、財政規律をどのように維持していくのか、総理大臣にお伺いします。
財政健全化においては経済成長等による収入増か、歳出改革による費用減を先ず進めるべきであると考えます。 多額の借金を抱える中、維新の会が行政の責任を引き継いだ大阪では、想定される収入総額内に歳出総額を抑えることに徹し、聖域なき行政改革・議会改革などによるムダの排除、経済活性化による税収増により、府市民への増税に頼ることなく財政健全化を実現してきました。我々日本維新の会の原点であります。
一方、総理は所得税・法人税・たばこ税の増税方針を採用しました。経済成長による増収は諦めたということでしょうか。あるいは政府の進める成長戦略では経済成長せずに増収とならないと判断されたということでしょうか。違うと仰るのであれば、では経済成長でどのぐらいの増収を見込まれているのでしょうか。総理、お答えください。
歳出改革、行財政改革を大胆に進める必要があるとの認識は総理と同じであると考えております。防衛費増分の約1兆円の財源が見つからないとのことですが、税金や社会保険料の徴収もれへの対応を強化すれば良いのではないでしょうか。日本維新の会は歳入庁を創設すべきとずっと主張していますが、歳入庁を設置するところまでいかなくても、国税庁や年金機構各々で対応を強化すればすぐにでもできることと考えます。何故そうしたメニューが出てこないのか、総理にお尋ねします。
【金融政策・日銀総裁人事】
さて、次に金融政策および日銀総裁・副総裁人事についてお尋ねします。
日銀は昨年12月の決定会合で長期金利の変動幅をプラスマイナス0.5%に拡大しましたが、黒田総裁は「利上げではない」と発言されています。総理も同じ考えですか、お伺いします。
金融緩和と実質的な利上げを同時に行っている日銀を総理はどのように評価していますか、総理、お答えください。
日銀が債務超過と評価され、外資系金融機関が日銀当座預金を閉鎖するといった事態を総理は想定されていませんか。理由と併せてお答えください。
日銀総裁の後任の人選は既に完了して、ご本人には打診されているのでしょうか。 人選にあたって、総理が一番重視する点はどういった何でしょうか。金融緩和や雇用の最大化に関してどのような考え方の方を人選するのですか。黒田路線を継承する方を選ぶのですか。総理のお考えをお尋ねします。
我が党は日銀法改正法案を国会に提出しています。物価の安定、雇用の最大化等に係る目標、日本銀行の果たすべき機能・責務等について日銀と政府で協定を締結すること、内閣または財務大臣は、両議院の同意を得た上で、日本銀行の役員を解任することができるものとすることを柱とする法案ですが、本案の必要性について、総理の認識をお伺いします。
協定の締結までいかないとしても、円安や物価上昇、また、雇用の最大化ということを考えると、極めて難しい現況下で総裁・副総裁が一気に変わるわけですから、 新たに任命された総裁とは共同声明(アコード)を新たに締結する必要があると考えますが、総理の見解をお伺いします。