成長戦略

来年度予算案は一般会計で114兆円超と過去最大となりましたが、内実は社会保障費や国債費などの膨張が大きく、他の政策経費は約3割どまりです。税収も過去最高ながら、他の主要先進国と比べると増加が鈍いのが実情です。

成長につながる支出が乏しいがゆえに税収が伸び悩み、財政が硬直化して成長の余力を失う負の連鎖が浮かび上がります。

岸田政権の示す中長期の成長戦略は、人への投資、デジタル・トランスフォーメーション(GX)、グリーントランスフォーメーション(GX)といった成長に繋がる取り組みもありますが、徹底的な改革を行い、成長を呼び込む賢い支出で税収を伸ばし、次の成長投資の財源とする好循環を作り出そうという政治主導の決意や具体的行動が足りません。 総理にお尋ねします。

施政方針演説で総理は、新しい資本主義を「次の段階に進めたい」と訴えましたが、「これまで」についてはどのように総括されているのですか。

新しい資本主義という枠組みに当てはまる様々な政策を五月雨式に出すのではなく、制度疲労を起こしている日本の経済社会のシステムを抜本的に見直す骨太の成長戦略を実行すべきではないですか。

日本維新の会は、税制、社会保障制度、労働市場を三位一体で改革し、経済成長を呼び込む日本大改革プランを掲げています。このプランをどのように評価されますか。

また、各国で経済安全保障体制の整備が進み、世界経済のサプライチェーンが分断しつつある今こそ、次の時代を牽引する技術やサービス、そして、国家と国民に真に必要な物資等についてはメイド・イン・ジャパンを進めるといった戦略的な指針が必要ではないですか。

原発・脱炭素・エネルギー

政府は昨年末にまとめた脱炭素社会に向けた基本方針で、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故以来、「想定していない」としていた原発の建て替えや新増設、運転期間の延長を明記し、原発活用へと政策を転換しました。

日本維新の会は、安全が確認され、立地自治体の理解が得られた原発の再稼働の方向性は支持します。しかし建て替えや運転期間延長などを進める前に、政府がやるべきことがあります。

私は昨年12月19日に青森県・六カ所原燃の高レベル放射性廃棄物貯蓄管理センターなどの施設を、今月16日には、この春にも処理水の海洋放出が始まる東電福島第一原発を、それぞれ視察し、政治主導で早期に核のゴミの最終処理に道筋をつけるべきだという思いを強くしました。

国内の原発で保管されている使用済み燃料は約1万6千トンで、電力10社の保管容量の約75%を占めます。原発の再稼働が進めば、さらに余裕がなくなります。しかし使用済み核燃料の最終処分については、最終処分法により地層処分の場所のめども立っていません。再処理工場の稼働も遅れています。

総理に質問します。

使用済み核燃料の最終処分の方法や場所はいつまでに決めるお考えですか。原発の運転期間延長や建て替えを進めるにあたっては、国が責任をもって最終処分地などを決めるためのロードマップを作成し、関係自治体との調整を進めるべきではないですか。

政府の基本方針には、二酸化炭素排出に応じて企業にコスト負担を求めるカーボン・プライシングを来年度から段階的に導入することも盛り込まれました。 カーボン・プライシングは、事業者にとって過度な負担とならず、かつ延命策にならないことが必要であり、民間競争を促進するとともに、国際的な潮流に即した制度設計が求められます。

カーボン・プライシングは脱炭素のインセンティブとして重要であり、制度を速やかに策定し、着実に実行すべきだと考えますが、総理の認識を伺います。

コロナ対策

新型コロナウイルスへの危機対応も大きな転換期を迎えました。政府がこの春、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを、危険度の高い2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げることになりました。

社会経済活動と医療体制の両立を促すべく、日本維新の会は、昨年夏の参議院選挙の公約や昨年10月のコロナ対策に関する提言11弾などで「5類への早期移行」を繰り返し訴えてきました。先ほど述べた通り、前国会での改正感染症法成立にあたっては、わが党の主導で「新型コロナの法的な位置づけの見直しを速やかに検討すること」が附則に盛り込まれました。

かくして私たちの主張が実現する形となりました。やや遅まきながらの方向転換ですが、社会の閉塞感を打ち破る政府の判断を支持します。

課題は感染対策を軽視することなく、医療体制の正常化など、平時への移行を円滑に進めていくことです。

5類への引き下げ後、感染者は発熱外来などに限らず、一般病院や診療所でも受診することができるようになりますが、受け入れ実績がない医療機関の忌避感は拭えないと指摘されています。自治体からのコロナ病床確保の要請がなくなれば病床は他の病気の患者で埋まり、感染拡大時に重症コロナ患者が行き場を失う恐れもあります。 総理に質問します。

5類移行後、医療体制をどのように確保していくお考えですか。コロナ患者受診や病床確保のための医療機関への支援について、2類相当下での補助金を主軸にした体制から、診療報酬の改定によって患者を受け入れる医療機関を拡大していく体制に移行していくべきだと考えますが、所見を伺います。

新たな変異株の登場などで医療体制が再び逼迫する可能性はあります。危機管理上、あらかじめ緊急事態宣言に代わる行動制限を発動する仕組みを構築すべきではないですか。

報道によると、政府は治療費の全額公費負担を段階的に縮小していく方針ですが、無用な混乱を招かない制度設計が必要です。どのような段階になったらインフルエンザと平仄を合わせた、通常の保険診療に移すお考えですか。

マスクの着用については、5類への移行で、屋内での着用も原則不要とする方向ですが、個人の自主判断に委ねた、明確かつ丁寧な指針を打ち出すべきだと考えます。見解をお示しください。

防衛力強化

昨年12月、新たな国家安全保障戦略など安保3文書が閣議決定されました。深刻化する世界の安全保障環境の中で、我が国は、いずれも核を保有し、力による現状変更の意思を隠さないロシア、中国、北朝鮮の隣に位置しており、国民はトリプル危機の最前線で暮らしています。

安保3文書の改定で「反撃能力」保有への道が開かれ、防衛費のGDP比1%枠の壁が取り払われました。戦後日本をほぼ丸腰にさらしてきた空想的平和主義から脱却し、戦争を抑止する真の平和主義へと舵を切ったことは評価します。

閣議決定に先立ち日本維新の会は、岸田総理に提言書をお渡ししました。私たちの提案を3文書に広く反映させていただいたことを感謝します。しかし、まだ踏み込みが足りません。自衛のための「必要最小限度」の解釈の見直しや核共有の議論開始など、抑止力の肝が抜け落ちているのです。今後の具体的な防衛力整備も同様です。抑止力にならない中途半端な反撃能力であれば、保有する意味などありません。

新人自衛官が初めて制服を身に着けたとき、こう服務宣誓をします。すなわち「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえることを誓います」と。命を投げ出すことも厭わず国民のために全力を尽くという決意を示すものです。

有事の際、自衛隊の最高指揮官として、国民を全力で守ると誓った自衛官たちに「必要最小限で戦え」と本当に言えますか。他国への脅威にならない必要最小限の軍事力が本気で抑止力となるとお考えですか。

日本の防衛政策の基本「専守防衛」は、国民が傷つき犠牲になることが前提となっています。この立場を貫く以上、絶対に敵国に侵攻を許されない強力な防衛力を持つことが不可欠ではないですか。

核が最大の抑止力であることから目を逸らすべきではありません。中国、北朝鮮、ロシアが核戦力を増強する中、日本維新の会は、我が国が核共有をめぐる議論を開始することが必要だと考えています。

先の日米首脳会談の共同声明で、バイデン大統領は核を含むあらゆる能力を用いた日本の防衛への揺るぎない責務を表明しましたが、日本を守る核抑止の具体的な強化策は示されていません。核抑止問題について大統領とどのような議論をなされたのですか。

有事の際の国民保護への対応が遅れています。とりわけ台湾に近い先島諸島の住民約10万人の避難対策は最優先の課題です。

昨年8月には中国軍が台湾周辺の軍事演習で、沖縄県与那国島の北北西約80キロに弾道ミサイルを着弾させました。台湾から約110キロの日本最西端の島にとって、台湾有事は「対岸の火事」ではありません。

総理に伺います。

住民の避難先となる地下シェルターは国民保護の重要手段となります。しかし中国、北朝鮮がともに日本を射程に収める弾道ミサイルを所有しているのに、先島諸島には未だに地下シェルターが一つもありません。政府はいつまでに先島諸島に地下シェルターを整備する方針ですか。

国民保護法に基づいて政府が住民に避難を「指示」できるのは、自衛隊の防衛出動に必要な「武力攻撃事態」や「武力攻撃予測事態」などが認定されるときに限られています。すでに軍事攻撃が始まったか差し迫ったときであり、これでは住民避難は遅れかねません。

有事に至る前の段階の「重要影響事態」でも国民保護が行えるよう早急に法整備すべきではないですか。

訓練で重要なのは場数を踏むことです。特に先島諸島では台湾有事を想定した住民の避難訓練を国主導で積極的に実施すべきだと考えますが、併せて見解を求めます。