少子化対策
我が国の昨年の出生数は統計開始以来、初めて80万人を割る見通しとなりました。日本は、人口危機という「静かなる有事」に直面しています。 総理は年頭記者会見で「異次元の少子化対策」を掲げましたが、3本柱の児童手当の強化、学童保育などへの支援、働き方改革は、いずれも従来施策の延長に過ぎず、出生率を反転させられるとは思えません。晩婚化、非婚化の問題に光があてられていないからです。 総理にお尋ねします。
人口減少に向かう悪循環から脱するには、若い世代にとって出産と子育てが経済的にも、キャリア形成の上でも負担にならず、プラスになると実感できる社会環境を創りだすことが不可欠だと考えますが、認識をお示しください。
また、そうした社会環境を醸成するためには、児童手当のような給付ばかりに頼るのではなく、税や社会保障の負担を全体として軽減すべきです。
私たちは、ベーシックインカムなどをセーフティネットとする日本大改革プランが実現するまでの過渡的措置して、個人ごとの課税方式を改め、子どもの数が多い世帯ほど税負担を軽減するN分N乗方式を導入すべきだと考えますが、見解を伺います。
個別施策では、全国各地で保育・幼児教育の無償化や、18歳までの子どもの医療費無償化、学校給食費の無償化の取組みが進んでいます。大阪市では、塾代を助成しているほか、幼児教育は国の制度に上乗せして非課税世帯の0~2歳児については大阪市独自の負担により更なる負担軽減を図っています。小中学校の給食費は完全無償化を実現し、来年度以降も継続される方針です。大阪府は私立高校の授業料実質無償化を全国に先駆けてスタートさせました。 そして今度は、吉村洋文知事と松井一郎市長の下、維新の会のリーダーシップにより、0歳児から大学院卒業までの教育費の無償化が、大阪という一地域では実現しようとしています。
少子化の進行による国や地域の活力の減退は地方自治体が最も強く感じています。そうした地方自治体のリーダーシップと自助努力に頼るのではなく、本来は、国が先陣を切って取り組み、地方に恩恵を与えるべきではないですか。
全国に先駆けて大阪で進むこうした正に「異次元の少子化対策」に対して、政府も同調し、後押しをするとともに、優れた取り組みとして全国に広げていくつもりはありませんか。
具体策として、児童手当の給付増額だけでなく、保育・幼児教育、医療費、給食費等について、所得制限を撤廃した無償化を進めるつもりはありませんか。
出産支援について、政府は4月から出産育児一時金を現行の42万円から50万円に増額します。ただ一時金を手厚くしても、医療機関が出産費用を上げるイタチごっこが想定され、効果は不透明です。 これに対しわが党は、出産に保険を適用し、自己負担分はクーポン等の支給で出産費用を実質無料にするべきだと訴えています。
出産費用の高騰も抑えられる、出産の保険適用を政府として導入するお考えはありませんか。
総理は「子ども予算を倍増する」を宣言しましたが、財源のメドが立たず、結論は先送りされています。政策のメニューが煮詰まっていないのに、自民党内では消費税率引き上げの声も上がっています。
安心して子どもを産み育てる環境を整えるには安定財源は欠かせませんが、どのように財源を確保するのですか。家計への負担がかさむ増税は少子化対策に逆行しますが、増税は選択肢にないとこの場で明言していただけませんか。
物価高騰・円安対策世界的な資源高などによる物価高騰のあおりで、国内の消費者物価は急上昇しています。家計に対する影響を軽減するためには物価高を上回る賃上げが欠かせません。 しかし、政府が民間に期待する基本給の一律引き上げは、内部留保などの余力がある大企業は対応できても、原料高に苦しんでいる中小・零細企業には困難です。 総理にお尋ねします。
わが党が先の総合経済対策で提言した通り、中小・零細企業の物価高を超える賃上げを実現するためには、これら事業者の社会保険料の事業者負担分の半減や、法人税率の引き下げなどの施策が必要と考えますが、見解を求めます。
賃上げを持続可能なものにするには、大企業から中小・零細企業への価格転嫁が不可欠です。しかし、その具体策として政府が期待する企業間取引が適正価格で行われているのか監視するいわゆる「下請けGメン」制度は、長年築き上げた取引先との信頼関係を国からやってきた他人にゆだねるような制度であり、日本の商習慣に合わず機能していないとの声が、事業者から私のもとに届いています。
下請けGメン制度の現状をどう捉えていますか。中小企業に対する価格転嫁政策をより強く推進すべきと考えますが、今後、どのような具体策を考えていますか。