1. ドイツの純金融資産・資金過不足

    続いて、ドイツの状況を見てみましょう。

    図3 純金融資産・資金過不足 ドイツOECD統計データ より

    図3がドイツのデータです。

    純金融資産のグラフを見ると、家計の純金融資産が順調に増えていますが、企業の純金融負債が停滞気味です。

    政府の純金融負債も一定ボリュームありますが停滞していて、その代わりに海外の純金融負債が急激に増加しています。

    資金過不足のグラフを見ると、海外が大きく赤字主体であることがわかります。ドイツの場合は海外への投資が多いことがわかりますね。

    政府や家計による対外証券投資も考えられますが、企業による対外直接投資も多いのではないでしょうか。

    資金過不足ではやはり企業の存在感が薄いですね。

    ドイツの企業は基本的には黒字主体ですが、赤字主体となるタイミングもあり、日本ほど存在感はありません。

    資金過不足で存在感が薄いという事は、その1年での金融取引でプラスとマイナスが相殺している事になります。

  2. イギリスの純金融資産・資金過不足

    続いてイギリスについて眺めてみましょう。

    図4 純金融資産・資金過不足 イギリスOECD統計データ より

    図4がイギリスのデータです。

    純金融資産のグラフを見ると、家計の純金融資産が順調に増えていますが、企業の純金融負債は停滞気味です。

    政府の純金融負債が増えていて、海外は純金融資産プラスです。

    資金過不足を見てみると、赤字主体が政府ですが、黒字主体で存在感が大きいのは家計ではなく海外です。

    海外からの投資が多いという事が考えられますね。

    逆に家計は資金過不足での存在感が薄いわりに、純金融資産が増えています。

    イギリスの家計は、金融資産のうち年金・保険が大きいのが特徴です。政府の純金融負債が増える中で、年金・保険など家計への再分配が大きいのかもしれませんね。