1. 日本の純金融資産・資金過不足

    まずは日本の状況からおさらいです。

    改めてOECDのデータでグラフ化してみました(1994年からのデータとなりますが、日銀資金循環とほぼ一致します)。

    図1 純金融資産・資金過不足 日本OECD統計データ より

    図1は日本の純金融資産(左)と資金過不足(右)です。

    特徴的なのは、企業(赤)の純金融負債が目減りしていて、その代わりに政府(緑)、海外(黄)の純金融負債が増えている点です。

    家計の純金融資産は1990年代に既に高い水準に達していたわけですが、その後の増え方は緩やかです。

    資金過不足を見ると、企業が大きく黒字主体となっている事がわかります。その分家計の黒字幅が目減りしているようにも見えますね。

    政府と海外は赤字主体が続いています。1994年以前は企業が大きく赤字主体でした。

    この変化は果たしてどのようなことを意味するのか、他国のデータを見ることで考えていきましょう。

  2. アメリカの純金融資産・資金過不足

    まずはアメリカからです。

    家計、企業、政府の関係を見るときに、アメリカ、カナダ、イギリスとドイツ、フランスでは傾向が異なりますので、そのあたりも注意して眺めていきたいと思います。

    図2 純金融資産・資金過不足 アメリカOECD統計データ より

    図2がアメリカのデータです。

    純金融資産のグラフを見ると、家計の純金融資産と企業の純金融負債が対称的に増えているように見えます。

    主に企業が純金融負債を増やすことで、家計の純金融資産が増えている事になります。

    政府の純金融負債も少しずつ増えているようです。また、海外は純金融資産がプラスですので、アメリカに対しての投資が上回っている状態です。

    資金過不足を見ると、少し印象が変わってきますね。

    主に赤字主体となっているのは政府で、企業の存在感が非常に小さいことに驚きます。企業の負債が増えているのに、資金過不足では赤字主体とは言い難い状況です。

    おそらく、純金融負債は時価評価となりますので、新規に資金調達をするというよりも、株価の上昇による影響が大きいという事が考えられそうです。

    主要国の経済主体ごとの詳細については、今後取り上げていく予定です。