1. 資金過不足の特徴

    今回は、日本銀行 資金循環統計の金融取引(フロー)についてご紹介しました。

    金融資産を増やすのか減らすのか、負債を増やすのか減らすのかという4つの動きが複合しているので理解しにくいと思いますが、いかがだったでしょうか。

    バブル期とバブル崩壊まで、その後の1990年代後半まで、2000年~2010年、2011年以降で大きく4つの期間で各経済主体の挙動が変化しているように見受けられます。

    その間一貫して家計は黒字主体ですが、2000年あたりから資金余剰額は目減りしています。

    企業の変化が一番特徴的で、赤字主体から黒字主体へと転換しています。

    そして、その分政府と海外が赤字主体となっていますね。

    1991年頃~2010年頃まで、とりわけ2000年~2010年あたりの期間が、各経済主体とも特殊です。政府の負債が問題視されがちですが、政府の負債が極端に増えたのがまさにこの時期ですね。

    図7 政府 負債 対GDP比IMF統計データ より

    図7がIMFの統計データによる、政府負債対GDP比の推移です。

    日本の政府負債対GDP比は、ちょうど1990年あたりから増え始め、2007年頃にかけて急激に増加しています。

    他国はこの間横ばい傾向です。

    その後2008年のリーマンショックを機に増加しているのは、他の主要国でも同様ですね。

    何故日本の政府の負債が多いのかという事を考えた場合に、バブル・バブル崩壊の影響と、その後2010年ころまでの各経済主体の挙動に着目すると色々と見えてきそうです。

    ただし、日本は2010年以降も企業の資金余剰が続いています。

    バブル崩壊前は、企業が大きく負債(特に借入)を増やす存在で、バブル崩壊後に負債を減らす挙動がみられたのは理解できます。

    しかし、その後も黒字主体であり続ける状態は果たして一般的なのでしょうか?

    次回から、他国の資金過不足に着目して、日本の状態と比較してみたいと思います。

    皆さんはどのように考えますか?

編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2023年1月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。