1. 海外の金融取引

    次に海外の金融取引について眺めてみましょう。

    図5 資金循環 フロー 海外日本銀行 資金循環統計 より

    図5が海外の金融取引のグラフです。

    資金不足が継続している様子が分かります。

    1990年までは金融資産も負債も大きく増やしている中で、資金不足となっていました。

    1990年~2001年頃までは金融資産がプラスになったりマイナスになっていて、負債の増加量も減っています。

    2002年以降でまた金融資産が増え、負債も増える循環に戻っています。

    2008年と2009年だけ傾向が異なりますが、これはリーマンショックの影響と見れそうですね。

    基本的には日本から見た海外は、日本に対する金融資産も負債も増やす中で、負債の方が大きく、資金不足となる主体と言えそうです。

    海外との金融取引については、日本の政府と金融機関による対外証券投資、企業による対外直接投資が多いようです。

    一方、海外からの投資については、証券投資が多く、直接投資はほとんどないと考えられます。

  2. 資金過不足

    最後に、各経済主体の資金過不足を1つのグラフにまとめてみましょう。

    図6 資金循環 フロー 資金過不足日本銀行 資金循環統計 より

    図6は日本の各経済主体の資金過不足をまとめたグラフです。

    各年で資金過不足を合計すると必ずゼロになります。

    家計が常に黒字主体で、純金融資産が増え続けている事が確認できます。

    一方、企業は1997年まで赤字主体でしたが、1998年から黒字主体に転換しています。

    そして、家計の黒字幅もそれ以前と比べると目減りして推移しているように見えますね。

    1998年以降は、家計と企業が黒字のため、その合計額を政府と海外が赤字主体となる事で生み出している関係に変化しています。

    企業が資金余剰になった分、余計に政府の資金不足が増えているようにも見受けられます。

    また、金融機関も基本的に黒字主体で推移しているのが興味深いですね。