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  1. 資金過不足とは

    前回は、日本銀行の資金循環統計の概要と、各経済主体のストック面(金融資産・負債残高)についてご紹介しました。

    家計の純金融資産が増える反対側で負債を増やす主体が企業から政府と海外に移っているという状況が確認できました。

    今回は、フロー面(金融取引)についてご紹介したいと思います。

    経済主体ごとの1年間の金融取引を記録したものがフロー表ですね。それぞれの経済主体が各年でどのような挙動をしたのかがわかると思います。

    金融取引 (資金循環統計の解説より引用) ある期間の資金取引(フロー)、つまり、ある期間の資金の調達と運用がわかる。(中略) フロー表では、(ある期間)の資金運用と調達の差額を、「資金過不足」という項目に記録している。これをみれば、部門別にどの程度資金が余剰だったのか、不足だったのかが分かり、さらに、収入などに比較して実物資産に対する投資・支出がどの程度なされたのかなど、実体経済活動の動きを推測することもできる。

    この金融取引において、金融資産の純増額と負債の純増額の差額を資金過不足と呼ぶそうです。

    資金過不足がマイナスであればその主体は資金不足(赤字主体)、プラスであれば資金余剰(黒字主体)となります。

    赤字主体という事は、負債を引き受け、日本経済全体のお金を増やしている主体という事になります。

    このフロー表は、「実体経済における貯蓄、投資行動を反映して決まるもので、その差額である資金過不足は、概念上、国民経済計算の純貸出/純借入に一致」するそうです。

    資金余剰 = 純貸出 資金不足 = 純借入

    金融取引については、各経済主体ごと、取引項目ごとに詳細に記録されていますが、非常に煩雑になりますので、今回は金融資産と負債、資金過不足の増減のみに絞ってご紹介します。

    1年間の変動になりますので、各取引項目について結果的に資金過不足に与える影響が次の4パターン生じます。

金融資産増える → 資金過不足プラス 金融資産減る → 資金過不足マイナス 負債増える → 資金過不足マイナス 負債減る → 資金過不足プラス