1. 家計の金融取引

    このような前提のもと、今回は各経済主体の金融取引と、日本全体における資金過不足について眺めてみましょう。

    まずは、家計の金融取引です。

    図1 資金循環 フロー 家計日本銀行 資金循環統計 より

    図1が家計の金融取引のグラフです。

    金融資産(青)と、負債(赤)の各年の金融取引をグラフ化しています。

    負債はマイナスとして表現していますので、マイナスであれば負債が増えたことを表します。

    負債が減れば、グラフとしてはプラス側に表記され、資金過不足にプラス側に寄与したことになります。

    金融資産の変化量と負債の変化量の正味が資金過不足(黒)です。資金過不足がプラスであれば資金余剰、マイナスであれば資金不足です。

    日本の家計は、資金余剰が続いています。グラフは1980年~2021年ですが、傾向から大きく3つの期間に分かれそうです。

    1999年までは、金融資産の増加額が大きく、負債も増やしていて、資金過剰額も大きかったようです。

    2000年~2011年は、金融資産の増加額が小さく、負債は減っていて、資金過剰額がややプラスで推移しています。

    2012年以降で、金融資産の増加額が徐々に増えていき、負債もやや増えています。

    また、1990年を機に負債の増え方が急に減っているのも確認できます。これはバブル崩壊による影響と考えられそうですね。

    家計の負債は主に住宅貸付です。

    家計は常に黒字主体であることが確認できます。