MVVを浸透させるうえで役立つツール・取り組み

MVVを決め、ただ周知するだけでは、大きな効果は期待できません。全社にMVVを浸透させ、従業員一人ひとりの行動を変えるためにはどうすればいいのか、5つのツールや取り組みを紹介します。

評価制度の見直し

MVVを決めたら、その内容を踏まえて評価制度を見直しましょう。評価制度を見直すことで、従業員はMVVをより意識するようになります。MVVに沿った行動や取り組みをした従業員を高く評価するように制度を変えるのです。

クレドカード

MVVが常に従業員の目に触れるよう、クレドカードを作るのもおすすめです。クレドカードとは、企業の理念や行動指針を簡単に表した言葉が書かれたカードのことです。MVVが書かれたクレドカードを従業員に常に携帯させることで、MVVを意識する機会が増えるでしょう。

社内報

MVVに関するコンテンツを社内報に載せるのも有効です。社内報の表紙や目次にMVVを掲載したり、MVVに関する取り組みを社内報で紹介したりしましょう。

MVVで決めた言葉をただ見聞きさせるのではなく、実現のために誰がどんな取り組みをしているのかを伝えることで、MVVへの理解度が深まります。

1on1

従業員一人ひとりに、より確実にMVVを落とし込むために、1on1を実施しましょう。1on1とは上司と部下、マネージャーとチームメンバーなど、1対1で行われる面談のことです。

MVVをどのように捉えているのか、MVVを踏まえてどんな行動を取っているのかを1on1で確認し、フィードバックしましょう。

経営層による発信

MVVは経営層が策定するものです。自社の理念や中長期の目標について理解し、MVVを決めた張本人である経営層こそが、MVVを最も深く理解しています。

MVVについて、経営層が継続的に発信することが、従業員一人ひとりに落としこむための近道です。

MVVを策定し、浸透させるまでの流れ

MVVを策定し、浸透させるまでの流れ6ステップを、これまで紹介してきたことを踏まえて解説します。


MVVの策定~浸透までの6ステップ



  • STEP1.PEST分析で自社の使命をハッキリさせる

  • STEP2.ステークホルダーの理解を得るために3C分析を実施

  • STEP3.ミッション、ビジョン、バリューの順でMVVを策定する

  • STEP4.MVV浸透のための取り組みを決める

  • STEP5.MVVを周知する

  • STEP6.継続的に発信する



それぞれの詳細についてチェックしていきましょう。

STEP1.PEST分析で自社の使命をハッキリさせる

MVVを策定する前に、まずは自社の使命(ミッション)をハッキリさせなくてはなりません。そのために有効なのが「PEST分析」です。

PEST分析とは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字を取ったフレームワークで、この4要素から外部要因を分析します。

PEST分析で「今はどんな時代・社会なのか」を明確にした後、「そのような社会の中で、自社はどうあるべきなのか」を考えるのです。

STEP2.ステークホルダーの理解を得るために3C分析を実施

PEST分析で自社の使命をハッキリさせたら、ステークホルダーの理解を得るために3C分析を実施しましょう。3C分析では、「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つのCを分析します。これにより、自社のポジションや強みを明確にできます。

Customer(顧客)を無視したMVVを作るのは本末転倒ですし、そのMVVが自社の利益を高めることを株主に示せなければなりません。顧客・株主・従業員などのステークホルダーから理解を得られるMVVを策定するために、しっかり分析しましょう。

STEP3.ミッション、ビジョン、バリューの順でMVVを策定する

PEST分析や3C分析で自社の目指すポジションや使命がハッキリしたら、「ミッション→ビジョン→バリュー」の順でMVVを策定しましょう。

まずは自社の存在意義や社会に対して提供すべき価値(=ミッション)を決めることで、そのために自社がどうあるべきなのか、具体的なイメージ(ビジョン)が描けます。そのビジョンを現実にするためにはどんな行動が必要なのかを考えることで、行動の基準や指針(バリュー)が明確になります。目標設定をする際には逆算をするように、MVVもゴールから逆算して策定しましょう。

STEP4.MVV浸透のための取り組みを決める

MVVを策定したら、それを公表・周知する前に、浸透させるための取り組みを決めましょう。特に、MVVの内容を踏まえて、評価制度を見直すのは大切です。

MVVを公表した直後に具体的な取り組みをはじめることで、従業員へのインパクトが大きくなります。会社としての本気度も伝わりやすくなるでしょう。

STEP5.MVVを周知する

MVV浸透のための取り組みまで決めたら、いよいよ周知です。経営者からのメッセージ動画を配信したり、全従業員が参加できるミーティングやワークショップを開いたり、従業員の印象に残る方法で周知しましょう。

STEP6.継続的に発信する

MVVを周知した後も、経営者からのメッセージや社内報などを使い、継続的に発信しましょう。さまざまな角度から、こまめに発信をくり返すことで、MVVへの理解度を高められます。