相当数のライバーとリスナーが毎日稼働していることは間違いないが、現在のビジネスモデルと現在のアクティブなユーザー数で収益を出せないことは、6期連続の赤字で残念ながらほぼ確定している。だからこそ様々な手を打っているわけだが、ライトユーザーを遠ざける無料ギフトの面倒な仕組みやファンクラブ的な機能の導入など改善の余地は大きいように見える。

SHOWROOMが理念として掲げるように、夢を追いかける人を応援する仕組みとしてSNSやYouTuberと並んでライブ配信アプリが役に立つことは間違いない。そのためにはSHOWROOM自身が収益を改善して自立する必要がある。

ここ数年でSHOWROOMは以下の通り資金調達や資本提携を多数行っている。筆者が確認した限り2019年から合計9回、決算書で確認すると調達額は総額で20億円ほどだ(資本剰余金の増加額)。

2022年3月期時点で資本金の総額が約50億円に対して累積赤字が約40億円、差し引きの純資産(自己資本)は約10億円と、今後も赤字が継続すればさらなる資金調達が必要な状況でもある。

黒字化は株主はもちろん、ライバーやユーザーのためにも急務だ。

*資金調達・資本提携の回数(公式リリースより確認) 2019年 2回 2020年 2回 2021年 2回 2022年 3回

※ 利益相反(conflict of interest:COI)について 筆者が記事で言及した人物・企業・サービスについて、直接的な出資・融資・取引等の利害関係は過去・現在を含めて一切存在しない。

中嶋 よしふみ  FP シェアーズカフェ・オンライン編集長 保険を売らず有料相談を提供するFP。共働きの夫婦向けに住宅を中心として保険・投資・家計・年金までトータルでプライベートレッスンを提供中。「損得よりリスクと資金繰り」がモットー。東洋経済・プレジデント・ITmediaビジネスオンライン・日経DUAL等多数のメディアで連載、執筆。新聞/雑誌/テレビ/ラジオ等に出演、取材協力多数。士業・専門家が集うウェブメディア、シェアーズカフェ・オンラインの編集長、ビジネスライティング勉強会の講師を務める。著書に「住宅ローンのしあわせな借り方、返し方(日経BP)」。

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2022年12月30日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。