S&P500は、米株式市場を代表する株価指数だ。NY証券取引所や、NASDAQに上場する500銘柄の時価総額を基に算出される。
構成銘柄数が500と多く、米株式市場全体の約80%の時価総額の比率を占めている。したがって、ダウ平均(30銘柄)やナスダック指数(100銘柄)に比べて、米株式市場全体の動きを反映する指数として知られている。
S&P500はダウ平均やナスダック指数に比べ値動きが安定
S&P500は500銘柄で構成されており、特定の銘柄の値動きの影響が少なく、値動きが安定している点が特徴だ。
S&P500を長期視点で見ると、成長を続ける米経済を背景に底堅い値動きを見せている。S&P500に投資するということは、米国の経済成長に投資することと同様の意味を持つともいえる。
2023年のS&P500の行方は?
2022年は、アメリカ株式市場全体が不調であった。S&P500は新年最初の取引こそ4,796ポイントと史上最高値を更新したが、12月最終週は3,800ポイント台で取引が始まるなど大きく下落した。
ただし、年足を見ると、2022年は2021年の上昇分と同等の下落に留まっており、先行きを過度に悲観する状態ではない。
株式市場は経済の半年先を先取りする、といわれることがある。S&P500は構成銘柄数の多さから、米国経済を先取りする株価指数と考えることができる。その観点では、2023年のS&P500の動向は米経済の回復次第だろう。
米利下げのスケジュール次第?
2023年は米国の利上げ終了が確実視されるが、年末に向けて利下げの可能性も浮上している。2022年10月に発表されたIMFの経済成長見通しでは、2023年の米国の経済成長(1.0%)は日本(1.6%)を下回ると予想されており、米経済は苦戦が予想される。
したがって、2023年のS&P500は前半の苦戦が予想され、2022年の安値3,491ポイントの割れの可能性も否定できない。ただし安値更新には至らず、2022年の安値圏でのレンジに留まる可能性も予想されている。
2023年末から2024年にかけて利下げが行われ、経済回復に向けた動きも予想される。そしてS&P500は、利下げスケジュールの具体化にともない、その後の景気回復を織り込む形で上昇に向けた値動きを見せる可能性がある。
2023年のS&P500は、米国の利下げのスケジュールが鍵を握るといえよう。
年間を通じて低迷する可能性もある?
上述の通り、2023年のS&P500は2022年の安値更新の可能性もある。しかし2022年は年間を通じて下落しており、反発がどのタイミングで生じるのかという点が注目される。
米国の利下げスケジュールの具体化とともに、S&P500も上昇に向けた値動きが見られると予想される。
ただし、インフレの継続により利下げの時期が予想以上にずれこむ場合、2023年のS&P500は年間を通じて低迷する可能性もある点は注意が必要といえるだろう。
文・石井僚一(金融・投資ライター)
大手証券グループ投資会社への勤務を経て、個人投資家・ライターに。株式市場や個別銘柄の財務分析やIPO関連記事に加え、個人投資家としての経験も活かし資産運用記事などを執筆中。投資歴22年。
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