筆者が注目する2023年の投資ジャンルは、「金・原油」などの商品市場だ。

ロシア軍によるウクライナ軍事侵攻(以下、ウクライナ危機)から、2023年2月で1年が経過する。そして、2022年11月後半にWTI原油価格が80ドルを割れるなど、商品市場のウクライナ危機後の乱高下は落ち着きを見せつつある。

「ドル建ての金」に注目

落ち着きを見せる商品市場のなかでも、筆者は“ドル建ての金”に注目している。2022年のドル建ての金価格は、ウクライナ危機後3月までは上昇したが、4月以降は7ヵ月続けて月足は陰線となり下落した。

“有事の金”とも呼ばれるが、2022年はウクライナ危機という有事がありながら不調であった。ドル建ての金価格は11月に大きな反発を見せたが、依然として7月の水準を下回っている。

ただし円建ての金価格は、4月に天井を付けた後はレンジを形成中だ。ドル建てと円建ての金価格の比較からは、ドル建ての金価格の下落はドル高が招いたものと考えることができる。

ドル安によって上昇する可能性も!

ドル円については、日本政府の介入もあり150円が天井として意識されている。また2023年は米国の利上げも一段落すると予想され、ドル高一服、そしてドル安進展の可能性がある。

したがって、2023年のドル建ての金価格は、ドル安によって上昇加速する可能性がある。また逆に金価格が下落しても、ドル安が下落を押しとどめる効果も期待できる。

ドル建ての金価格の行方は?

ドル建ての金は、米国ETF:SPDR®ゴールド・シェア(GLD)で投資ができる。また、ドル建ての金に投資する投資信託も国内に複数ある。

金は保有しても配当や金利が得られないため、とくに金利上昇局面では買われにくくなる。2023年は米国の利上げもピークアウトが予想される。よって、金価格上昇の期待感もあるなかでドル安進展の可能性もあり、2023年はドル建ての金価格の行方に注目している。

※本記事は専門家の視点で執筆したものであり投資を目的としたものではありません。投資の最終決定はご自身の責任と判断で行ってください。

文・石井僚一(金融・投資ライター)
大手証券グループ投資会社への勤務を経て、個人投資家兼ライターに。株式市場や個別銘柄の財務分析やIPO関連記事に加え、個人投資家としての経験を活かし資産運用記事を執筆中。第一種証券外務員資格保有。

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