MBOの目標設定の具体例

MBOでは具体的な目標設定を定めることが大切ではあるものの、評価は定性的・定量的に行われます。そのため、客観的に測定できる目標と、主観的に評価できる目標の両方を定めることが一般的です。

(例)客観的目標



  • 外部納品本数を2021年10月時点より10%増加させる。




  • 4カ月以内に3名の内定候補者を確保する。




  • 今期の平均採用コストを昨年の10%削減する。



(例)主観的目標



  • 自社製品やサービスに関する知識を深め、スムーズに説明できるようになる。




  • 契約に繋がるリードの件数を増やす。




  • スムーズな業務進行のためチーム内のチャットを活性化させ、交流を促進する。



MBOを導入するときの注意点

マネジメントの手法として広く用いられているMBOですが、必ずしも完璧な手法とはいえません。改善すべき点も数多く指摘されています。導入を検討している方は、MBOを採用するときの注意点を必ず理解しておきましょう。


MBOを導入するときの注意点



  • 組織目標と個人目標が結びついているか確認する

  • MBOの評価と人事評価は異なると共有する

  • 目標の達成基準を明確に設定する

  • 評価者の負担が増えるため、スケジュールを確保しておく



組織目標と個人目標が結びついているか確認する

MBOを導入するときは、組織目標と個人目標が結びついていることを必ず確認しましょう。意識したいのは3種類の管理手法のうち「課題達成型」です。

課題達成型はトップダウン形式で、経営陣が決めた企業目標が共有された後、各自がその内容を考慮して目標を定めるのが基本。そのため、組織目標と個人目標に明確な繋がりが生まれます。

ほかの「組織活性型」や「人事評価型」は、あくまでも個人の目標になってしまい会社としての業績に繋がりにくい傾向があります。

どの型を活用するのかは企業によりますが、課題達成型のように2つの目標を結びつけることができれば、個人の目標達成が企業の目標達成にも影響を与えるので、業績アップも狙えます。

MBOの評価と人事評価は異なると共有する

MBOは、各自が定めた目標を自分自身で管理することにより組織やチームを管理するマネジメント手法です。そのため、MBOの評価と人事評価はイコールで結びつかないことを従業員にはきちんと共有する必要があります。

MBOの評価が人事評価と異なる理由としては、達成度ばかりを見ていると目標値を低く設定してしまう可能性があるからです。成果を出すために行動することはもちろん大切ですが、そうするとプロセスが軽視されがち。

結果だけでなくプロセスもきちんと評価することを伝え、正しい方法を考え、行動することを促しましょう。目標設定時には達成へのプロセスも考えてもらうようにすると効果的です。

目標の達成基準を明確に設定する

MBOを導入する際は、目標の達成基準が明確に設定されているかを必ず確認しましょう。「ミスを減らすように心掛ける」「スケジュール管理を徹底する」などの目標設定は、抽象的で曖昧です。主観的にしか評価ができないため、評価者によって達成度がばらついてしまいます。

目標の達成基準は「月間のミスの回数を10から5まで減らす」「納期遅れを3日から1日に短縮する」など、客観的に測定できるものに設定します。目標を明確にすると従業員自身も効果的な施策を実施しやすく、評価者も客観的な評価をしやすくなります。

評価者の負担が増えるため、スケジュールを確保しておく

MBOは、従業員が定めた目標が適切かどうかを確認したり、定期的に進捗を管理したりと、評価者にとって負担の大きいマネジメント手法です。MBOのPDCAを回していくには、評価者側もプランを組む必要があります。

そのためには、あらかじめ振り返りのスケジュールを確保しておくことが大切。フィードバックや振り返りのタイミングは、期末まで前もって具体的な日時を決めてしまいましょう。その都度日程を調整する方法だと、時期によっては時間が確保できず、進捗確認が遅れてしまう可能性も出てきます。