そして、アメリカ本国でも無能な地方自治の言い訳に
もちろん、お膝元のアメリカ国内でも、あらゆる天変地異の原因を人為的二酸化炭素排出量の激増による地球温暖化に帰して、為政者の怠慢や無能をおおい隠す風潮は歴然としています。
アメリカのネバダ州とアリゾナ州の州境に、ミード湖という人造湖があります。1920年代から30年代にかけて構築されたフーバーダムによってコロラド川の水流を堰き止めて造られ、飲料・生活用水、灌漑用水、水力発電に活躍していました。
ですが、今そのミード湖の水位が、水力発電にも支障を来たし、カリフォルニア州やネバダ州の水源としての役割も果たせなくなるのではないかと思うほど低下しています。
湖底から水面までの高さが、めったに1100フィート(336メートル)を割りこまなかったのに、直近ではかろうじて1050フィート(320メートル)を上回るところまで低下しているのです。
アメリカ最大の人造湖と言うことで観光船の名所にもなっているのですが、湖水面から建物3~4階分はひからびた山肌に覆われた殺風景な場所になってしまって、観光船運営業者は困り果てているようです。
当然のように、これもまた地球温暖化のせいにされています。
ところが、ミード湖に流入するコロラド川からの水量は、下のグラフでご覧のとおりランダムに上下しているだけで、減少している気配はありません。
いったいなぜ、ミード湖の水位は低下しつづけているのでしょうか。
タネを明かせば「なんだ、そんな当たり前のことか」とがっかりするような話なのです。
このグラフは、2008年までの実績に基づいた長期予測です。一目瞭然で、ちょうど世紀の変わり目までは供給が需要を上回っていたのに、2020年頃からは漸増を続ける需要がほぼコンスタントに供給量を上回るだろうと予測されていたのです。
結果的にこの予測がずばり的中したのですが、その間ミード湖から水をもらっていた自治体は、たとえば取水先を多様化するとか、水道料金を大幅に上げるとかの対策を取ったのでしょうか。
私の知っている限りでは、他のもっと小さな人造湖から水路を使って水をミード湖に導き入れて「水供給量に不安はありませんよ」とこそくな細工で取り繕う以外、ほとんど何もやらなかったようです。
予測どおりに水不足になってからも、地球温暖化に責任を転嫁しているだけなのですから、話になりません。
全欧州で2022年は1540年以来最悪の酷暑だった?ヨーロッパ諸国では、去年の夏がはたして今も数々の伝説が語り伝えられている1540年の酷暑を上回る暑さだったのか、そこまでは行かなかったのかが話題になっています。
1540年には、ふだんあまり暑くならない中央ヨーロッパやドイツ北部などで、最高気温が40℃を超える町が続出し、乾燥して立ち枯れ状態の農作物に火が点くと止められずに野火として燃え広がる被害が続出したそうです。
中にはひからびた沼の中に神に導かれたように分け入って、初代ローマ皇帝アウグストゥス時代の金貨が詰まった壺を掘り当てて大金持ちになった女性もいたそうです。
しかし、ほとんどの人間、動物、そして何よりも農作物にとって大きな被害の出た年でした。
さて、2022年の夏がそれを超えたか、それとも接近しただけかという点については、イギリスについてみればかなり超えていた可能性が強そうだというデータもあります。
この数字は、特定の日のイギリス全土の観測所の最高気温の平均値を示しています。イギリスの中でもスコットランドのハイランド地方(北部)などは夏でもかなり寒い土地柄です。
そういう地域の観測所もふくめた平均値で40.3℃ですから、ロンドンを中心とするイングランド南部はそうとう暑かったでしょう。
このグラフを見ただけでも、イギリス全体として1990年以降は最高気温平均値が36.5℃を上回る年が激増していることは明白です。
ただ、「だから地球全体が温暖化しているのは間違いない」という結論も、「こんなに突然最高気温が上がったについては、なんらかの人為的要因が介在しているに違いない」という推論も、間違っていると思います。