5. 大原美術館分館では岸田劉生の『麗子』に逢える
本館と分館は100mほどの距離がありますが、その間には美しい日本庭園や彫刻があり、目を休ませてくれます。

広い芝生のある分館の入口では、ロダンとムーアの彫刻が迎えてくれます。お子様連れの方は、芝生で一回休憩するのもよいでしょう。ちなみに進路を表示している黒い石(実はこれも作品)ですが、冬にはほんのり温かいそうですよ(夏は暑い!)。

<『童女舞姿』岸田劉生 画像提供:大原美術館>
皆さん、この女の子に見覚えありませんか?大正から昭和にかけて活動した画家・岸田劉生は、幼い自分の娘(岸田麗子)を題材にした作品で知られていますが、この『麗子』は10歳を超えたころの作品。全身を描いているのは珍しいそうです。
十数年で40点以上、16歳になるまでの『麗子』作品があるので、その全てを見るために全国を巡る人も多いのだとか。髪飾りをつけた麗子、「グフフ」と笑う麗子、執拗にモデルにされてイラッとしている麗子......。興味のある方、ぜひとも「麗子巡礼」をどうぞ!

<『都会』 松本竣介>
この絵では、人々が街に背を向けて去っていく様子が描かれています。戦前の日本の西洋画家は、絵を描くだけでは生活できないことが多く、世相を反映した作品が多いのも特徴です。
6. 大原美術館はさまざまなイベントを楽しめるのも魅力
入館券売り場でチケットを引き換えたら、年間スケジュールとイベント案内を入手しましょう。

6.1 モーニングツアー・イブニングツアー

開館時間前や閉館後に、特別解説員さんのお話を聞きながらじっくり鑑賞できるイベントが「大原美術館モーニングツアー」です。
9時以降の入館料込みで2,500円(通常の入館料は1,300円なので、実質プラス1,200円)。
開催日は第2、第4日曜日と限定され、事前予約・限定40名までなので、早めの予約が必須です(2名より催行)。
6.2 年1回2日間!アートのお祭り「チルミュ」

<画像提供:大原美術館>
大人も子どもも楽しめるお祭り「チルドレンズ・アート・ミュージアム」(通称「チルミュ」)は、大原美術館のみならず、倉敷市の夏の風物詩です。
子どもたちはスタッフの方に質問しながら作品を見たり、ワークショップでダンスしたりと、アートに触れるのが楽しくなるイベントが目白押し!
2019年も8月24日・25日の開催が決定していますので、イベントの内容は「チルドレンズ・アート・ミュージアムFacebookページ」をチェックしてください。美術館としても普通に営業していますが、「いつもより騒がしくなります」と入館券売り場などで案内されるそうです。
6.3 有隣荘一般公開

大原美術館の向かいにある「有隣荘」では、大原美術館主催の特別展示が定期的に行われます。中に入ることができるのは年2回。もともと貴賓室として使われ、昭和天皇も泊まられたことがあるのだとか。
もともとの建設は1928年。大原孫三郎が病弱な奥様のために、大原美術館本館の5倍の建設費を使って建てられたものだそうです。
6.4 ギャラリーコンサート(ベヒシュタインのピアノが聴ける!)

大原美術館の本館2階にはベヒシュタインのピアノ(1901年製造)が置かれています。音の立ち上がりがとても良いこのピアノは、名手フランツ・リストに愛され、フランスの作曲家・クロード・ドビュッシーに、「全てのピアノ曲はベビシュタインのために作られるべき」と言わせる程の逸品です。一度は聴いてみたいその音色。年2回程行われる「ギャラリーコンサート」でどうぞ(ピアノを使用しない場合もありますので要確認)。次回は2019年10月6日(日)です。