すさまじかった消費の萎縮
それにしても、過去たった5年間で日本国民は、平時の先進国では類例を考えることができないほど消費を切り詰めてきました。
2020~22年の「コロナ騒動」期を通じて、直前の2019年に比べて消費性向が4.6パーセンテージポイントも下がったのです。そればかりか、2017年のピークに比べると10パーセンテージポイント超の大収縮です。
消費性向とは、可処分所得のうち何パーセントを消費に回すかという数字です。たんに新型コロナへの恐怖心から発した家計の緊縮とは思えません。
今後も円安政策は続き、それは即世界中から買えるモノやサービスの量がどんどん目減りしていくことを意味すると、しっかり見据えた上での長期耐乏生活の覚悟を示したのでしょう。
その意味では、日本の大衆は多くの経済学者たちよりはるかに鋭敏に、円安政策の害毒をわかっていたのだと思います。
ですが、日本は世界最大の対外純資産国です。他国から借りているカネより他国に貸しているカネのほうが世界一巨額なのです。経済危機に瀕した世界では、自国通貨の価値が下がるより上がって当然という国です。
今回のイールドカーブコントロール枠の拡大をきっかけに、ブレトンウッズ体制崩壊以降2011年まで続いた円高基調を回復すれば、経済のみならず社会全体に活気が戻ってくると確信しています。
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編集部より:この記事は増田悦佐氏のブログ「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」2022年12月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」をご覧ください。