2014~17年には電力株の2~4倍の株価水準にあったアリババ、テンセントは、現在では電力株の約4割にまで株価が下落しています。
中国経済にとって泣きっ面に蜂のロックダウン中国経済の成長鈍化が明白になってきた中、つい最近第3期目に突入した習近平政権の異常なまでの「コヴィッド・ゼロ」政策へのこだわりがさらに閉塞感を強めています。
じつは2020~21年の段階では新型コロナ対策としてのロックダウンは、ほぼ平常通りの年だった2019年と比べてあまり大きな変化がありませんでした。
しかし、致死率は低いけれども感染性の強いオミクロン株主体になってからのひんぱんで中国各地の大都市で実施されたロックダウンは、製造業の強い広州市での交通渋滞時間の激減に示されているとおり、経済活動全般の大幅な減少につながりました。
また、以前からイスラム教徒が多いことで、自治区政府と住民とのあいだに緊張が絶えなかった新疆ウイグル自治区の首都、ウルムチでロックダウンのために大勢の犠牲者を出す事件が起きました。
高層住宅で起きた火災によって、外側から鍵をかけられた上にワイヤでドアノブまで縛り付けられた状態の室内に閉じこめられていた10数人とも40人とも伝えられる人が、焼け死んでしまったのです。
この事件をきっかけに、中国全土で追悼集会が催され、習近平の退陣や共産党一党独裁の廃止を求める声が公然と聞かれるようになりました。政治社会的にどんな影響が生ずるかはまだ予断を許しませんが、間違いなく経済の落ちこみをさらに深めるでしょう。
それでなくても危機的な中国の自治体財政不動産開発業者に国有地の長期借地権を売りつけることを収益基盤としてきた中国の省、自治区、県、市などの財政は、不動産開発事業の落ちこみによって危機的な状態に置かれています。
ご覧のとおり、総債務残高が歳入を超え、債務の元利支払い額が歳入の10%を超えています。さらに、この元利支払い額のうち約6割を自治体特別債の利払いに充てています。
一方、歳入は2010年代後半の年率10%前後の伸びが、不動産開発業者への借地権販売収入の激減とともに、2021年時点ですでに0%に接近しています。中央政府による救済を必要とする自治体も出てくるでしょう。
最後の、そして非常に重要な問題が、アメリカのハイテク大手全体として、これだけアラの見えてきた中国経済に対する依存度が非常に強いことです。