若き(元)10億ドル長者は偽善と虚栄のかたまり

この事件を見ていてやりきれないのは、あからさまな偽善的態度が立派な慈善行為として褒めそやされている、アメリカ社会の荒廃ぶりです。

よくまあ、これだけ自分の行動とは正反対のきれいごとを真顔で言ってのけるものだと感心します。

「自動車はランボルギーニやマセラッティじゃなく、トヨタ・カローラで十分」と言いながら、数人のFTX幹部と一緒に住んでいるのはバハマには珍しい超高層住宅の最上階にあるペントハウスで、捨て値で売りに出した価格でさえ4000万ドルという物件です。

しかも自分がCEOとしての年俸から払って買った物件ではなく、客から預かったカネを流用したものです。

さらに「効率のよい利他主義」という謳い文句の実態を思い知らせてくれるのが、同じように公金を横領して自分の両親には1億2100万ドルの超豪華な別荘を買ってやっていることです。

いかにもバハマらしい豪華クルーズの停泊する桟橋に至近距離の豪邸とのことです。

「1万人の貧乏人に120ドルずつくれてやっても、すぐなくなってしまうだろうけど、夫婦でスタンフォード大学法学部の正教授をしていながら、中流の上程度の生活水準で悔しい思いをしている両親にプレゼントすれば、きっと一生喜んでくれるだろう」というのが、効率の良い利他主義なのでしょう。