もう一つ、気付くことは、感染者数が多いのは長野を含めて全て東北、北海道の寒い地方で、暖かい沖縄は最も感染者数が少ないことである。今後、気温が下がってくると全国的に流行が始まる可能性が高い。

世界各国やわが国の都道府県の感染状況を見ると、4回目接種によって、かえって感染者数が増加することが見て取れる。少なくとも、4回目接種はまん延予防に貢献していない。

 

それでは、ワクチンを打つ目的は、感染予防効果でなく重症化予防効果であるという説明を裏付けるデータは得られるだろうか。10都道府県の4回目ワクチン接種率と人口あたりのコロナ感染による死亡者数の関連を検討してみたが、両者に関連は見られなかった。

4回目接種に使用されたワクチンは、武漢株の遺伝情報に基づく従来型ワクチンである。BA.5に対応したオミクロン対応ワクチンを使用すれば、今回の検討とは異なる結果になったかもしれない。しかし、先の論考でも述べたように、オミクロン対応ワクチンのヒトでの予防効果を示す十分なデータは示されていない。世界に先駆けてBA.5対応型ワクチンの接種を開始するわが国には、その効果を検証し、その結果を世界に発信することが期待される。