中国市場は成長力があり、各銘柄の値上がり益を見込めるだけでなく、配当利回りが高い企業も多いのが特徴。今回は、中国の有名企業の配当利回りや、中国株の高配当銘柄の利回りランキングと会社概要を紹介する。中国株投資を考えている人は参考にしてほしい。

目次

  1. 1,中国株の配当の4つの特徴 中国企業の高い成長性と政策金利との関係など
  2. 2,世界的に有名な中国企業の配当利回りは?アリババ、テンセント、レノボなど
  3. 3,香港株の高配当利回りランキングTOP10!優良企業は利回り8%超も
  4. 4,上海A株の配当利回りランキングTOP5!楽天で購入できる銘柄の最高利回りは9%超
  5. 5,配当が支払われるタイミング
  6. 6.中国株のメリット
  7. 7,中国株の注意点
  8. 8,配当目当ての中国株投資では財務状態も必ずチェックする
  9. 9,中国株の利回りについてよくある5つのQ&A
  10. 実際に中国株投資を始めてみる

1,中国株の配当の4つの特徴 中国企業の高い成長性と政策金利との関係など

中国株1.jpg
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

中国株の配当は日本の上場企業に比べると高めで、値上がり益と併せて中国株投資の大きな魅力となっている。

中国株の高配当は、中国企業の高い成長力と先進諸国に比べて高めに設定された政策金利に支えられている。

先進国が超低金利政策を取る一方で、中国は長く最優遇貸出金利1年物(LPR、実質的な政策金利)を大幅に引き下げることなく維持してきた。

2020年に入ってから深刻化した新型コロナウイルスの危機を受けて、経済へのダメージを抑えるために2月と4月の2回LPRを引き下げた。

しかし、4月の引き下げ以来LPRのさらなる引き下げは見送られている。

2021年8月現在は、年3.85%に維持されている。

このような中国株に投資を考えているなら、押さえておきたい特徴が4つある。

中国株の配当の特徴
  • 銀行株の配当が高め
  • 原則的に期末配当のみ
  • 権利確定日が企業によって異なる
  • 多くの銘柄は現地の配当税がない

特徴1,銀行株の配当が高め

中国の銀行株は、預金金利を上回る配当利回りに設定することで、投資家に銀行株の購入を促してきた。

ここ数年でLPRは段階的に引き下げられてきたものの、2021年12月現在も、中国銀行株の配当利回りは、多くの場合、LPR(1年3.85%、5年以上4.65%)を大きく上回っている。

香港証券取引所に上場している代表的な銀行株の配当利回りを確認してみよう。

代表的な中国の銀行と予想配当利回り
銀行名<現地コード> 予想配当利回り ※1 2021/12/3終値
取引単位
最低投資金額 ※2
バンク・オブ・チャイナ
(中国銀行)<03988>
8.60% 2.740香港ドル
1,000株
3万8,360円
アグリカルチュラル・バンク・
オブ・チャイナ(中国農業銀行)<01288>
8.40% 2.630香港ドル
1,000株
3万6,820円
バンク・オブ・コミュニケーションズ
(交通銀行)<03328>
8.00% 4.530香港ドル
1,000株
6万3,420円
インダストリアル・アンド・コマーシャル・
バンク(中国工商銀行)<01398>
7.30% 4.440香港ドル
1,000株
6万2,160円
チャイナ・コンストラクション・
バンク(中国建設銀行)<00939>
7.30% 5.560香港ドル
1,000株
7万7,840円
※1,予想配当利回りは、マネックス証券「銘柄スカウター中国株」の2021年12月3日現在の個別銘柄情報から引用
※2,1香港ドル=14円として 、投資金額を「2021年12月3日終値×取引単位×14円」で算出

上記の5大銀行の予想配当利回りは7.3%~8.6%です。

東証一部上場銘柄の有配会社平均利回りは1.92%(2021年11月実績)である。
出典:日本取引所グループ『その他統計資料』

高配当銘柄として知られる三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>の予想配当利回りは4.41%(2021年11月26日更新数値)。

これらに比べると、中国主要銀行の配当利回りはかなり高い。

近藤真理

どの銘柄も成長性や収益性は決して高くなく、株価も低迷しています。それでも黒字を維持しており、3万~8万円の資金があれば購入が可能です。香港株の高配当銘柄選びに困ったら、検討してみるとよいでしょう。

特徴2,中国株の配当は原則的には期末配当だけ

中国市場の慣行として、中国株の配当は原則的に期末配当の1回のみです。中間配当は、当期純利益を原資とする場合を除いて認められていません。

ただし配当可能額の範囲内で、中間決算後に複数回に分けて期末配当を実施する場合もある。

配当可能額=(当期純利益+過年度繰越損益)-三項基金※1
※1三項基金とは以下の3種類の基金のことである。

①準備基金(日本の利益準備金に相当。当期純利益の10%以上を、資本金額の50%まで積み立てる必要あり)
②企業発展基金(事業拡大のための原資となる任意の基金)
③従業員奨励福利基金(従業員の福利厚生を目的とした引当金)

特徴3,権利確定日が企業によって異なる

中国企業の権利確定日は、日本の企業のように決算期末日と決まっているわけではありません。
配当をもらうためには、発表される配当スケジュールを確認して権利付最終日前に購入し、売却する場合は権利付最終日後でなければならないので、十分注意しましょう。
香港株

香港証券取引所に上場している企業については、決算日後の決算発表の際、あるいは決算発表とは別の日に配当スケジュールが発表される。

中国本土株

中国本土企業の配当スケジュールは、決算と決算発表後に開催される株主総会で最終的に決定される。

近藤真理

香港株と中国本土株のどちらも、権利付最終日と権利確定日は株主総会の後になります。そのため、配当が実施される時期は日本企業よりも遅くなると考えておきましょう。

特徴4,多くの銘柄は現地の配当税がない

香港市場に上場する香港企業(いわゆるブルーチップ株)や、外資系企業の香港法人が支払う配当金は原則的に非課税で、現地で源泉徴収されることはありません。

中国株で配当税が源泉徴収されるのは、香港証券取引所に上場する銘柄の3割程度である。

源泉徴収の対象となる株式は、以下のとおりだ。

  • H株(登記地が中国本土でありながら、香港市場に上場している企業)
  • レッドチップ株(香港やバミューダ諸島など、中国本土以外に登記地があって、香港市場に上場しており、中国本土の資本が30%以上を占めている企業)
  • 上海証券取引所および深セン証券取引所に上場するA株とB株
中国株を取引可能なおすすめネット証券
証券会社 手数料 銘柄数
香港株のスクリーニング
機能が充実

マネックス証券
公式サイト
約定金額の
0.275%
(※1)
香港株のみ
個別銘柄2,551件
ETF19件

香港株取扱
銘柄数の多さは
国内トップクラス
中国株以外にも
8ヶ国の取り扱い

SBI証券
公式サイト
約定金額の
0.286%
(※2)
香港株のみ
個別銘柄1,331件
ETF21件
ネット証券で唯一
上海A株を取引できる

楽天証券
公式サイト
約定代金
10万円以下:550円
10万円超~100万円未満:
約定代金の0.55%
100万円超:5,500円
香港株
個別銘柄768件
ETF22件

上海A株
個別銘柄236件
マネックス証券SBI証券楽天証券のホームページをもとに筆者作成、2021年12月7日時点
※1 最低手数料49.5香港ドル、上限手数料495香港ドル
※2 最低手数料51.7香港ドル、上限手数料517香港ドル

2,世界的に有名な中国企業の配当利回りは?アリババ、テンセント、レノボなど

中国株2.jpg
(画像=Engdao/stock.adobe.com)

中国には、世界的に有名で企業規模もアジア有数の企業が多く存在する。

このような企業は、日本国内でも会社名やブランド、商品を見聞きしたり使用したりする機会が多い。

まずは香港証券取引所に上場する、中国発の世界的企業の配当利回りを見ていこう。

中国有名企業の配当利回り一覧
会社名<コード> 予想配当利回り ※1 2021/7/28終値 事業内容
取引単位
最低投資金額 ※2
アリババ・グループHD
<09988>
0 119.400香港ドル 世界最大規模を誇る
電子商取引サイト運営会社。
タオパオ(C2C)や
天猫Tmall(B2C)が代表的
100株
16万7,160円
テンセントHD
<00700>
0.40% 462.600香港ドル インターネットサービス事業、
コンテンツ事業、投資事業などを
手掛ける総合インターネット
サービス会社
100株
64万7,640円
レノボ・グループ
<00992>
3.90% 8.230香港ドル PCの売上高が連結売上
構成比の80%を占める。
世界有数のグローバル・
ハードウェア企業
2,000株
23万440円
ハイアール・スマート・ホーム
<06690>
1.40% 30.900香港ドル 中国本土や香港、海外市場で、
ハイアール、AQUAなど、
複数のブランド家電を
製造・販売する総合家電メーカー
200株
8万6,520円
ハイセンス・ホーム・
アプライアンシズ・グループ
<00921>
5.40% 7.780香港ドル 主に、 Hisense、 Kelon、
Ronshenの3つのブランド展開で、
白物家電製品の製造・
販売を行っている
1,000株
10万8,920円
シャオミ
<01810>
0 19.660香港ドル スマホやIoT製品、関連する
インターネットサービスを提供する。
自社製造のスマホには独自の
インターフェースを採用
200株
5万5,048円
エアチャイナ
<00753>
未定 5.080香港ドル 中国3大国有航空会社のうちの1社。
北京、成都、上海、深センの
主要空港をハブ空港として、
乗り継ぎサービスを
提供している
2,000株
14万2,240円
キングソフト
<03888>
0.60% 33.250香港ドル ソフトウェア・インターネット
サービスのプロバイダー。
ゲームを中心とする
エンターテインメント
関連事業が主力
200株
9万3,100円
AACテクノロジーズHD
<02018>
1.50% 33.500香港ドル スマホ向けスピーカーや
レシーバーなどの売上げが
収益の5割弱を占める
世界最大の小型音響部品メーカー
500株
23万4,500円
チャイナ・モバイル
<00941>
7.00% 46.700香港ドル 中国最大、世界でも
トップクラスの通信事業者。
中国のワイヤレス市場全体の
約6割のシェアをもつ
500株
32万6,900円
※1,予想配当利回りは、マネックス証券「銘柄スカウター中国株」の2021年12月3日現在の個別銘柄情報から引用
※2,1香港ドル=14円として、「2021月12日3日終値×取引単位×14円」で最低投資金額を算出

日本でも有名な中国企業10社のうち、アリババとシャオミは配当を実施しておらず、エアチャイナの2021年12月期配当は未定となっている。

近藤真理

アリババとシャオミは成長企業であるため、キャピタルゲイン目的の銘柄として購入するべきでしょう。

アリババとシャオミ、エアチャイナ以外の7社は、予想配当利回りが0.4~7.0%、最低投資金額も数万円から数十万円と、どちらも幅広い。

テンセントは毎年売上高を伸ばしている成長企業だが予想配当利回りは0.4%程度であり、最低投資金額として65万円ほどを見積もっておく必要がある。

日本でもおなじみのレノボは配当利回りが3.90%と高く、25万円の資金があれば購入できる。

近藤真理

中国の有名企業は最低投資金額が高くなりやすいですが、配当利回りは一様に高いわけではありません。配当目的の銘柄を絞り込む際は、各企業の配当利回りや最低投資金額、投資に回せる余裕資金とのバランスを考慮して判断しましょう。

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3,香港株の高配当利回りランキングTOP10!優良企業は利回り8%超も

中国株3.jpg
(画像=vegefox.com/stock.adobe.com)

中国株の中で、財務状態が良好な高配当銘柄にはどのようなものがあるだろうか。

以下の手順で銘柄を抽出し、高配当利回り上位10銘柄を紹介する。

【前提】
高配当利回り銘柄を検索する際には、各種指標を参照して、無配当になるリスクや倒産リスクのある銘柄をあらかじめ除外し、財務状態が健全で、配当を支払う体力のある会社を選ぶ必要がある。

そこで、マネックス証券の「銘柄スカウター中国株/10年スクリーニング」機能を使って、以下の条件を設定した上で、スクリーニングを行った。

・香港証券取引所上場
・個別株
・全業種対象
・予想配当利回り3%以上
・実績配当利回り3%以上
・PER 5~15倍(適正水準を10倍と仮定し、極度に割安または割高な銘柄を除外)
・PBR 0.5~1.2倍(適正水準を1倍と仮定し、極度に割安または割高な銘柄を除外)
・ROE 10%以上
・ROA 5%以上
・連続増配2年以上

このスクリーニングによって、12社が抽出された。

予想配当利回りの高い順に並べ替えると、高配当利回りTOP10銘柄は以下のようになった。

香港株優良企業高配当利回りランキングTOP10
順位 会社名<コード> 予想配当利回り
※1
2021/12/3終値
取引単位
最低投資金額
※2
1 タック・リー・マシーナリー・
ホールディングス<02102>
14.1% 0.320香港ドル
1万株
4万4,800円
2 インフィニティ・デベロップメント・
ホールディングス・カンパニー <00640>
11.3% 0.700香港ドル
4,000株
3万9,200円
3 CITICテレコム・インターナショナル・
ホールディングス<01883>
8.1% 2.630香港ドル
1,000株
3万6,820円
4 ヘルス・アンド・ハピネス(H&H)
インターナショナル・ホールディングス<01112>
5.7% 13.400香港ドル
500株
9万3,800円
5 シンガマス・コンテナ・
ホールディングス<00716>
5.6% 1.250香港ドル
2,000株
3万5,000円
6 フンフックトン・グループ・
ホールディングス<01446>
4.90% 0.400香港ドル
2,000株
1万1,200円
7 CPポカパン<00043> 4.6% 1.100香港ドル
2,000株
3万800円
8 ネットドラゴン・
ウェブソフト<00777>
4.5% 17.900香港ドル
500株
12万5,300円
9 シァンドン・シンファ・
ファーマシューティカル<00719
4.0% 4.470香港ドル
2,000株
12万5,160円
10 グアンジョウ・バイユンシャン・
ファーマシューティカル・ホールディングス<00874>
3.20% 19.040香港ドル
2,000株
53万3,120円

香港株高配当利回りランキングで最も高い配当利回りは、タック・リー・マシーナリー・ホールディングスの14.1%であった。

タック・リー・マシーナリー・ホールディングスの株価は、0.320香港ドルとかなり安い。そのため取引単位が1万株単位ながら、最低投資金額は日本円にして4万4,800円だ。
TOP10銘柄の中には最低投資金額が10万円以上~50万円超になる銘柄があることを考えると、タック・リー・マシーナリー・ホールディングスは資金の少ない人でも香港株にチャレンジできる貴重な銘柄といえます。

最低投資金額については、最低額がフンフックトン・グループ・ホールディングスの1万1,200円、最高額はグアンジョウ・バイユンシャン・ファーマシューティカル・ホールディングスの53万3,120円だ。

近藤真理

高配当といえども、保有株数が少なければ、その分受け取る配当金総額は少なくなります。保有株数が多ければ、配当金総額も大きくなります。投資に回すことができる余裕資金とリターンとの兼ね合いを考慮しながら、購入する銘柄や株数などを調整するとよいでしょう。

第1位,タック・リー・マシーナリー・ホールディングス<02102>……土木機械の販売・リース業

タック・リー・マシーナリー・ホールディングス
香港で、土木工事向けの重機やスペア部品の販売を中心に事業を展開している。重機・スペア部品販売部門、重機リース部門、保守・付帯サービス部門で構成されており、全社売上高の大半を重機・スペア部品販売部門が占めている。

タック・リー・マシーナリー・ホールディングスの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA 連続増配年数
14.1% 6.1倍 0.7倍 12.6% 10.0% 2年
※各種指標はマネックス証券「銘柄スカウター中国株/10年スクリーニング」の個別銘柄情報を引用(以下同様)

事業は小規模ながら、直近5年間の決算は手堅く黒字で着地している。土木工事向けの重機やスペア部品を手掛けていることから、コロナ禍の影響はあまり受けていないようだ。

近藤真理

タック・リー・マシーナリー・ホールディングスは、配当を目的とした投資に必要な条件が揃った銘柄といえます。

第2位,インフィニティ・デベロップメント・ホールディングス・カンパニー<00640>……化学系企業グループ

インフィニティ・デベロップメント・ホールディングス・カンパニー
フットウェアの製造で使用される化学薬品・製品(各種接着剤や下塗り塗料、硬化剤など)を製造する事業会社の持株会社。事業は中国部門、ベトナム部門、インドネシア部門、バングラデシュ部門の4地域で展開されている。
インフィニティ・デベロップメント・ホールディングス・カンパニーの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA 連続増配年数
11.3% 5.9倍 0.9倍 16.7% 12.1% 3年
インフィニティ・デベロップメント・ホールディングス・カンパニーは、2017年9月期を除けば過去10年以上黒字を確保している。コロナ禍の2020年9月期決算は減収減益、純利益は前年比15.2%減となったが、3年連続増配を実施した。
近藤真理

今後もインフィニティ・デベロップメント・ホールディングス・カンパニーは、業績にかかわらず連続増配を期待できます。

第3位,CITICテレコム・インターナショナル・ホールディングス<01883>……中国の通信インフラ業者

CITICテレコム・インターナショナル・ホールディングス
香港とマカオを拠点に事業を展開している電気通信会社。固定電話サービスや携帯電話サービス、インターネットサービス、国際通信サービス、エンタープライズソリューションなど、各種通信事業を手掛けている。

企業への情報通信技術提供サービスを行うエンタープライズソリューション事業は、同社の主力事業である。全社収益の大半は、マカオの拠点で生み出されている。

CITICテレコム・インターナショナル・ホールディングスの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA 連続増配年数
8.1% 9.4倍 1.0倍 11.0% 5.7% 9年

2013年以降、急速に業績を伸ばした会社です。コロナ禍においても業績は順調で、過去最高益水準の利益を上げています。

第4位,ヘルス・アンド・ハピネス(H&H)インターナショナル・ホールディングス<01112>……乳児と子ども向けミルク・サプリメントメーカー

ヘルス・アンド・ハピネス(H&H)インターナショナル・ホールディングス
乳児用粉ミルク、小児用栄養補助食品、成人向けプロバイオティックスサプリメント、ペット用栄養補助フード、ベビーケア製品などを製造・販売している。主力製品は、乳児用または子ども向け調製粉乳である。
ヘルス・アンド・ハピネス(H&H)インターナショナル・ホールディングスの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA 連続増配年数
5.7% 7.7倍 1.1倍 15.0% 6.9% 2年

2016年12月期以降の業績は堅調で、2019年12月期と2020年12月期は2期連続増収増益で、2020年12月期は過去最高益を記録した。

近藤真理

2021年5月31日、中国政府から3人目出産容認政策が発表されました。今後関連政策・法案が整備されて出生率が改善すれば、乳児向け粉ミルク事業を主力とするヘルス・アンド・ハピネス(H&H)インターナショナル・ホールディングスの業績は拡大する可能性があります。環境さえ整えば、成長余力のある会社といえるでしょう。

第5位,シンガマス・コンテナ・ホールディングス<00716>……各種コンテナ製造業者

シンガマス・コンテナ・ホールディングス
香港を拠点とするコンテナ製造会社の持株会社である。中国にも拠点を持つ。製造部門と物流サービス部門で構成され、製造部門の売上高は全体の約9割を占める。ドライ貨物、フラットトラック折り畳み式、タンク、海上など、さまざまなタイプのコンテナ製造を手掛ける。物流サービスではコンテナ保管から、修理、トラック輸送、コンテナの荷役サービスまで幅広く行っている。
シンガマス・コンテナ・ホールディングスの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA 連続増配年数
5.6% 5.8倍 0.7倍 13.3% 9.2% 4年

2019年12月期の業績は大幅に落ち込み赤字に転落したが、2020年12月期はコロナ禍による事業低迷で売上高が落ち込む中で利益率を改善し、かろうじて黒字を確保した。

新型コロナウイルス感染拡大による経済の減速は、製造業の工場停止や海上輸送をはじめとする物流の停滞につながり、コンテナ生産の縮小・不足と輸送遅延を招いた。今後は、同社の業績や株価に影響を及ぼすコロナ禍の収束時期や、それに伴うコンテナ生産や物流の回復状況を注視する必要がある。
近藤真理

シンガマス・コンテナ・ホールディングスの業績は近年伸び悩んでいましたが、株主還元を重視する姿勢が見られ、2020年12月期までの4期は連続増配となりました。

第6位,フンフックトン・グループ・ホールディングス<01446>……中国のノンアルコール飲料メーカー

フンフックトン・グループ・ホールディングス
香港を主な拠点とし、中国本土や海外市場にも販路を持つ瓶入り清涼飲料水メーカー。ハーブ製品、スープ、スナック菓子の販売も行っている。Hung Fook Tongブランドで製造・販売している飲料・食品には、一般的なノンアルコール飲料の他に、ハーブ飲料、中華風スープ、ハーブ亀の甲羅ゼリーなども含まれている。
フンフックトン・グループ・ホールディングスの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA 連続増配年数
4.9% 5.6倍 0.8倍 14.6% 5.8% 2年
近藤真理

フンフックトン・グループ・ホールディングスは香港を中心に事業を行っている企業で、ハーブ飲料、ハーブ食品といったニッチな分野に強みを持つ企業です。2020年12月期決算では利益率が大幅に改善しており、配当も前年の2倍になりました。

第7位,CPポカパン<00043>……動物用飼料と畜産・水産関連加工食品の消費財メーカー

CPポカパン
動物用飼料の製造・販売、農作物、畜産および水産動物の加工・包装に特化した消費財メーカーを有する持株会社である。動物用飼料は天然食品原料や他の酸、ビタミン、抗生物質を混合して製造され、アヒル、ウシ、エビ、魚、および他の動物の餌として利用される。自社農場や契約農場から仕入れた原料をもとに、自社の工場と冷蔵施設で加工された製品を、事業者向け・一般消費者向けに販売している。
CPポカパンの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA 連続増配年数
4.6% 8.0倍 1.0倍 76.4% 31.9% 3年
直近10年間の業績は順調で、2020年12月期を除けばおおむね右肩上がりで売上を伸ばしている。2020年12月期は売上高こそ大幅に落ち込んだが、当期純利益ベースでは過去最高益を叩き出した。
近藤真理

CPポカパンの1株あたり配当は少額ですが、連続増配を実施しています。

第8位,ネットドラゴン・ウェブソフト<00777>……オンラインゲームの開発・運営や教育事業を手掛ける

ネットドラゴン・ウェブソフト
グループの中核企業は中国国内で主にオンラインゲームやモバイルゲームの開発・運営を行い、海外では教育プラットフォーム事業を展開している。中国国内のオンラインゲームはPCゲーム、モバイルゲーム、ウェブベースのゲーム、eスポーツゲームなど、さまざまなタイプのゲームを提供しているが、PCゲームが売上高の大半を占める。
ネットドラゴン・ウェブソフトの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA 連続増配年数
4.5% 7.8倍 1.1倍 15.6% 10.3% 2年
ネットドラゴン・ウェブソフトはオンラインゲーム人気を受けて、近年業績が伸長している成長銘柄である。コロナ禍の2020年12月期も巣ごもり需要を背景に、前年までと同様に堅調な伸びを示している。
近藤真理

ネットドラゴン・ウェブソフトは、今後も高配当と持続的成長が期待できます。

第9位,シァンドン・シンファ・ファーマシューティカル<00719>……中枢神経・脳血管系の医薬品メーカー

シァンドン・シンファ・ファーマシューティカル
中国地盤の医薬品メーカー。解熱・鎮痛を主眼とする中枢神経系および脳血管系障害の治療薬は、全社売上高の4割強を占める主力製品となっている。事業は4部門で構成され、それぞれバルク化学合成医薬品、製剤製品、化学医薬品中間体、その他製品を手掛けている。
シァンドン・シンファ・ファーマシューティカルの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA 連続増配年数
4.0% 6.4倍 0.7倍 11.2% 5.2% 5年

2020年12月期までの6年間、増収増益を維持している持続的成長企業で、直近5年間は連続で増配している。

近藤真理

このまま業績を維持できれば、シァンドン・シンファ・ファーマシューティカルは連続増配銘柄として有望な投資先といえます。

第10位,グアンジョウ・バイユンシャン・ファーマシューティカル・ホールディングス<00874>……中国の医薬品メーカー

グアンジョウ・バイユンシャン・ファーマシューティカル・ホールディングス
注射剤、錠剤、カプセル剤から、経口液剤等の抗生物質、血管拡張剤、中医薬等の医薬品まで、幅広いタイプの医薬品を製造・販売している。主要部門は医薬品製造、医薬品流通および小売、健康製品の3部門。収益の柱は医薬品に関わる特許医薬、原材料、流通、小売である。
グアンジョウ・バイユンシャン・ファーマシューティカル・ホールディングスの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA 連続増配年数
3.4% 7.1倍 0.9倍 13.1% 5.8% 3年
近藤真理

2020年12月期は若干の減収減益となったが、2018年12月以降は大きく業績を伸ばしています。手堅い業績に支えられて今後も連続増配、少なくとも同額配当を期待できます。

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4,上海A株の配当利回りランキングTOP5!楽天で購入できる銘柄の最高利回りは9%超

大手ネット証券の中で、楽天証券だけが香港株に加えて上海A株も取り扱っている。

ただし、楽天証券で購入できるのは、上場する上海A株のうちの一部だけである。

近藤真理

上海A株を取引する際には、取引通貨が中国人民元なので配当金も人民元で受け取ることになること、そして配当税として10%が源泉徴収されることを覚えておきましょう。

楽天証券で購入できる上海A株のうち、高配当利回りランキングの上位5銘柄は以下のとおり。

取扱銘柄数は多くないが、どの銘柄も、楽天証券が厳選した、業績が堅調で、財務状態も健全な会社ばかりだ。

上海A株高配当利回りランキングTOP5
順位 会社名<コード> 予想配当利回り 2021/12/7終値
取引単位
最低投資金額
※2
1 チャイナ・シェンフア・
エナジー<601088>
8.03% 22.05中国元
100株
37,485円
2 タンシャン・ポート・
グループ<601000>
8.03% 2.74中国元
100株
4,658円
3 ダーチン・レールウェイ
<601006>
7.64% 6.28中国元
100株
1万676円
4 ベイジン・キャピタル・
デベロップメント<600376>
7.52% 5.05中国元
100株
8,585円
5 バンク・オブ・
コミュニケーションズ<601328>
7.21% 4.66中国元
100株
7,922円
※1,予想配当利回りは、楽天証券の上海A株個別情報で予想1株あたり年間配当をもとに、「予想1株あたり年間配当÷2021年12月7日終値×100」で算出
※2, 1中国人民元=17円として、「2021年12月7日終値×取引単位の株数×17円」で最低投資金額を算出

中国本土株の一種である上海A株のうち、配当利回りの高い企業は重厚長大産業、あるいは公益性の高い会社が多い。

ランキングTOP5銘柄の予想配当利回りは8.11~9.38%であり、東証や米国市場上場会社ではなかなか見られない高さです。

さらに株価も安く、取引単位が100株単位の銘柄ばかりなので、4万円程度あれば取引できる。

上海A株の高配当銘柄なら、資金に余裕のない人でもコツコツと資産を形成することができます。

第1位,チャイナ・シェンフア・エナジー<601088>……石炭主力のエネルギー会社

チャイナ・シェンフア・エナジー
チャイナ・シェンフア・エナジーは、石炭の採掘から鉄道輸送、熱い石炭や原料炭への加工、販売など、石炭事業の上流から下流まで幅広く手掛けている。石炭は発電事業やオレフィン事業(ブラスチック原材料への加工)、その他の分野にも応用され、国内外市場で販売されている。

チャイナ・シェンフア・エナジーの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA
8.03% 9.63倍 1.13倍 10.85% 7.01%
※各種指標は楽天証券の上海A株個別銘柄情報を引用。PER、PBR、ROE、ROAは実績値(以下、全銘柄同じ)

脱炭素社会実現に向けての動きが世界的に加速している。それに逆行するように、中国国内では、経済成長にともなって石炭火力発電所の新設が相次いでいる。

近藤真理

チャイナ・シェンフア・エナジーをはじめとする、石炭火力発電事業に携わるエネルギー会社に関しては、中国政府の石炭火力発電所への政策あるいは規制が、会社の業績にどのように影響するかを見極めながら、投資を進める必要があるでしょう。

第1位,タンシャン・ポート・グループ<601000>……港湾物流サービスを提供する会社

タンシャン・ポート・グループ
タンシャン・ポート・グループは港湾貨物の積み下ろしや仕分け、積み荷の輸送、保存、関連する物流サービスを提供している。取扱貨物の内容物は、鉄鋼製品、鉄鉱石、石炭、生塩、セメント、穀物、石材などである。
タンシャン・ポート・グループの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA
8.03% 8.94倍 0.88倍 9.99% 7.49%
新型コロナウイルス感染症による経済停滞によって、2020年12月期の売上高は大幅に落ち込んだ。それにもかかわらず、配当は前年同様増配となった。海路を使った貨物船輸送には、港湾物流サービスが不可欠である。中国国内で海路輸送や輸出入が活発に行われると、タンシャン・ポート・グループのような港湾物流サービス会社が活躍する。
近藤真理

経済の再始動とともに海上輸送の需要も回復し、同社の業績も改善することが見込まれるため、タンシャン・ポート・グループの増配に期待がかかります。

第3位,ダ―チン・レールウェイ<601006>……石炭製品の鉄道輸送サービスを提供

ダ―チン・レールウェイ
ダ―チン・レールウェイは中国国内で、主に発電用蒸気石炭の鉄道輸送サービスを提供している。サービス提供エリアは石炭の代表的な産地である山西省や、内モンゴルと陝西である。同社は、石炭製品輸送に加えて、鉄道旅客運輸サービスも行っている。
ダ―チン・レールウェイの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA
7.64% 8.66倍 0.76倍 8.77% 5.70%
近藤真理

中国の石炭火力発電依存は当面続くと考えられています。しかし、同社収益の大半は石炭輸送事業が占めているため、中国政府の石炭火力発電所に対する政策転換や規制が及ぼす影響は大きくなりがちです。同社に投資する際には、資産分散によって、リスクヘッジすることを考えましょう。

第4位,ベイジン・キャピタル・デベロップメント<600376>……北京が主要市場の不動産事業者

ベイジン・キャピタル・デベロップメント
北京を中心に、中国国内で不動産の開発・管理事業を展開している。主に土地開発や移転、ホテル・施設運営管理事業を手掛けている。
ベイジン・キャピタル・デベロップメントの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA
7.52% 4.93倍 0.42倍 9.94% 0.96%

中国、特に北京において旺盛な不動産開発需要の恩恵を受けて、2020年12月期までの同社の業績は堅調で、2020年初頭の新型コロナウイルス感染拡大の業績への影響も軽微だった。

ただし、今後の不動産業界を取り巻く環境の悪化には注意が必要だ。2020年8月、中国政府は不動産業者に対する規制を強化し、その煽りを受けて2021年秋には不動産大手の恒大グループが経営危機に陥った。
近藤真理

不動産業を営む同社にも規制強化による経営上のリスクがあることを踏まえて、現時点では高配当利回りだけに着目した投資は控えるべきでしょう。

第5位,バンク・オブ・コミュニケーションズ<601328>……総合金融サービス業

バンク・オブ・コミュニケーションズ
「交通銀行」と称される、上海に本店を置く中国初の国有株式銀行である。個人向けおよび法人向けの銀行業を中心とした関連金融サービス業を手掛けている。個人向けローンや預金業務などのパーソナルファイナンス事業、貿易金融などを含む法人向けのコーポレートファイナンス事業、主に有価証券取引を担うキャピタルビジネス事業、その他の4事業を展開している。
バンク・オブ・コミュニケーションズの経営指標
予想配当利回り PER PBR ROE ROA
7.21% 4.65倍 0.36倍 9.03% 0.73%
上海市場と香港市場の同時上場銘柄で、業績は右肩上がり。上海A株と香港株(「1,中国株の配当の4つの特徴 中国企業の高い成長性と政策金利との関係など」の「特徴1,銀行株の配当が高め」参照)のどちらでも、直近5年間連続増配を実施している優良銘柄である。
近藤真理

2市場上場銘柄ですが、香港株のほうが配当利回りが若干高く、決済通貨も香港ドルで流動性が高いため、どちらかといえば香港株のほうが取引しやすいでしょう。

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5,配当が支払われるタイミング

1.中国株の高配当利回りランキングTOP10!
(画像=編集部作成)

中国株の配当は、日本株とは頻度や時期などが異なる。

配当を目的に中国株投資を行う際は、事前に中国株特有の配当実施スケジュールを確認しておくことをおすすする。

下の表は、上述の有配中国株の配当情報をまとめたものだ。

中国有名企業と高配当香港株の配当実施状況
企業名<銘柄コード> 決算期 配当頻度 直近1年間の
権利落ち日
バンク・オブ・
チャイナ<03988>
12月 年1回 2021/5/27
アグリカルチュラル・バンク・
オブ・ チャイナ<01288>
12月 年1回 2021/6/9
バンク・オブ・
コミュニケーションズ <03328>
12月 年1回 2021/7/5
インダストリアル・アンド・
コマーシャル・バンク<01398>
12月 年1回 2021/6/28
チャイナ・コンストラクション・
バンク<00939>
12月 年1回 2021/7/7
テンセントHD<00700> 12月 年1回 2021/5/24
レノボ・グループ
<00992>
3月 年2回 2021/7/26
2021/11/26
ハイアール・スマート・
ホーム <06690>
12月 年1回 2021/7/9
ハイセンス・ホーム・
アプライアンシズ・グループ<00921>
12月 年1回 2021/6/29
キングソフト<03888> 12月 年1回 2021/05/31
AACテクノロジーズHD<02018> 12月 年2回 2021/6/1
2021/9/8
チャイナ・モバイル
<00941>
12月 年2回 2021/5/3
2021/8/25
タック・リー・マシーナリー・
ホールディングス<02102>
7月 年2回 2021/4/8
2021/12/2
インフィニティ・デベロップメント・
ホールディングス・カンパニー
<00640>
9月 年2回 2021/2/24
2021/6/1
CITICテレコム・インターナショナル・
ホールディングス<01883>
12月 年2回 2021/5/18
2021/9/8
ヘルス・アンド・ハピネス(H&H)
インターナショナル・ホールディングス
<01112>
12月 年2回 2021/5/17
2021/9/7
シンガマス・コンテナ・
ホールディングス<00716>
12月 年1回 2021/9/13
フンフックトン・グループ・
ホールディングス<01446>
12月 年1回 2021/6/9
CPポカパン<00043> 12月 年2回 2021/6/17
2021/10/27
ネットドラゴン・ウェブソフト
<00777>
12月 年2回 2021/6/7
2021/9/8
シァンドン・シンファ・
ファーマシューティカル<00719>
12月 年1回 2021/7/14
グアンジョウ・バイユンシャン・
ファーマシューティカル・
ホールディングス<00874>
12月 年1回 2021/6/21
※マネックス証券「銘柄スカウター中国株」の中国株(香港株)個別銘柄詳細情報のうち、「配当」「コーポレートアクション」タブ上の情報を参照

上海A株の配当実施状況
企業名<銘柄コード> 決算期 配当頻度 直近1年間の
権利落ち日
チャイナ・シェンフア・
エナジー <601088>
※香港市場にも上場
12月 年1回 2021/7/12
タンシャン・ポート・
グループ<601000>
12月 年2回 2021/5/18
2021/11/26
ダーチン・レールウェイ
<601006>
12月 年1回 2021/7/8
ベイジン・ キャピトル・
デベロップメント<600376>
12月 年1回 2021/7/7
バンク・オブ・
コミュニケーションズ<601328>
※香港市場にも上場
12月 年1回 2021/7/13
※楽天証券の中国株(上海A株)個別銘柄詳細情報のうち、「銘柄情報(株式分割・併合等)」タブ上の情報を参照

配当の頻度

高配当利回りランキングに名を連ねている香港株や上海A株の過半数は、年1回配当です。
高配当利回り銘柄には年2回配当を実施しているものもあるが、米国株のように年4回配当を実施している企業はほとんどない。
近藤真理

中国株は年1回配当銘柄が多いため、まとまった金額を中国株に投資して、受け取った配当所得を生活費に充てるよりは、中長期的なスパンで地道に配当所得を貯めて資産を形成するほうが向いています。

配当スケジュール

中国株の配当は、日本株のように決算日の2~3ヵ月後に支払われるわけではありません。同じ12月決算の企業でも、配当の権利落ち日にはバラつきがあります。
近藤真理

これは、中国株配当の権利確定日(=権利付最終日)の決め方が日本株と異なるためです。

・日本株の場合

日本企業の多くは、配当の権利確定日(配当基準日)が決算期末日に設定されている。

日本は3月決算の企業が多いが、権利確定日が3月31日なら前営業日の3月30日が権利落ち日、前々営業日の3月29日が権利付最終日となる。5~6月の株主総会で配当の実施が承認され、総会の翌日が配当金の支払日となる。
配当を受け取るためには、3月29日の権利付最終日までに株を購入し、3月31日時点で株主である必要があります。

・中国株の場合

中国企業では決算日に一連の配当スケジュールが発表され、権利確定日は株主総会で決定されます。

そのため、権利確定日は企業によっても年によっても異なり、同じ決算月であっても権利付最終日や権利落ち日、配当支払日に違いがある。

配当金は、中国企業が発表した権利付最終日(配当を受け取る権利を得られる買付最終日)に株式を保有している株主に対して支払われる。権利付最終日の翌営業日である権利落ち日になると、予想配当金を差し引いて株価や評価損益が調整される。現地で配当金が支払われるのは、権利付最終日の数日後。日本の投資家の外国株取引口座に現地通貨で配当金が振り込まれるのは、現地支払日から1週間程度後になる。

中国は12月決算の企業が多いが、4月中に開催される株主総会で権利確定日が決定し、6月に権利落ち日、権利確定日、配当支払日が設定されるケースが多い。

12月決算の投資先については、まずは12月31日の決算日に発表される配当スケジュールを確認する。例えば、権利確定日が6月7日の場合、前々営業日の6月5日の権利付最終日までに株の買付注文が約定されれば、6月中旬頃には自分の外国取引口座で配当金(現地通貨)を受け取ることができる。

6.中国株のメリット

2.中国株の高配当利回りランキングTOP10!
(画像=編集部作成)

中国は、日本を凌いでGDP世界第2位を誇る経済大国である。

強い中国経済を象徴する中国株式市場には、日本の株式市場にはない魅力がある。

ここで、改めて中国株投資の主なメリットを3つ挙げておこう。

メリット1,経済成長に期待できる

近年中国経済は減速しているものの、今もなお持続的に経済が成長している経済大国です。

中国は人口約14億人、日本の約26倍もの広大な国土と豊富な資源を持ち、世界最大規模の市場があるため、今後も経済成長の余地がある。

10%超の経済成長率を記録していた2000年代前半に比べると、近年の中国の経済成長率は縮小しており、おおむね6%台、コロナショックが起きた2020年の実質経済成長率は前年比2.3%増だった。それでも、近年実質経済成長率が1%以下(2020年はマイナス成長)に落ち込んでいる日本経済と比較すると、成長率の高さは一目瞭然である。

メリット2,値動きが大きい

中国の株式市場は、値動きが大きいことで知られている。

日本からの中国株投資は香港株が中心になりますが、香港株式市場には値幅制限がありません。条件が揃えば1日で株価が高騰することもあるため、一獲千金を狙うことも可能です。
一方、上海A株を取引できる中国本土市場には値幅制限が設けられており、原則的に前日終値から±10%の値動きに制限されている。上場廃止リスクの高いST銘柄は±5%、新興市場向けの科創板・創業板銘柄は±20%に制限されており、暴落や高騰が起こりにくい仕組みになっている。
近藤真理

中国本土株に比べて流通量が多い香港株のボラティリティの高さが、「中国株の値動きは大きい」という印象を与えているといえるでしょう。

メリット3,高配当銘柄が多い

前述のとおり、中国株には日本株には見られないような高配当利回り銘柄が存在する。

アリババ・グループのように成長著しい企業は無配であることが多いが、中国では銀行をはじめ株主還元策として配当利回りを高くしている企業は少なくありません。
近藤真理

配当を目的として中国株に投資するなら、中長期投資が基本になります。経態が安定している高配当銘柄を選んで投資すれば、為替手数料と国内取引手数料、税金を差し引いても、年々積み上がる配当所得で資産を形成することは難しくありません。

7,中国株の注意点

3.中国株の高配当利回りランキングTOP10!
(画像=編集部作成)

中国株投資には、株式投資そのもののリスク以外に中国の国家体制や地政学上のリスクがあるため、投資判断は慎重に行う必要がある。

とりわけ以下の2点については、投資を始める前に十分考慮して対策を講じておかなければならない。

注意点1,情報を入手しづらく、信ぴょう性に疑問がある

近年中国株が注目を浴びており、米国株を取り扱う証券会社では中国株も取引できる環境が整っている(DMM株を除く)。

ただし中国株に関する投資情報量は、米国株の情報量よりもはるかに少ない。株価情報や証券会社が取り扱う銘柄の詳細情報は証券会社のサイトで取得できるが、それ以外の投資判断に関わる企業ニュースや業績予想の修正情報、業界動向などを適切かつタイムリーに入手することは難しい。

世界的に有名な企業や巨大企業でない限り、上場会社が公開する開示情報の信ぴょう性(虚偽報告や不正会計に対する疑惑)や、報道されるニュースの正確さまたは公正性にも疑問が残る。

中国株に投資する際は、目にする情報がすべて事実である思わず、複数の証券会社サイトから情報を入手して、信ぴょう性を確かめることが大切です。

注文方法の選択や資産の分散など、何らかのリスクヘッジを行った上で投資するべきである。

注意点2.中国当局の規制や介入の影響を受けやすい

中国経済は中国政府の厳格な管理下にあり、当局の決定次第で産業政策や経済政策、取引ルール、規制などが急に変更になることも珍しくありません。それによって企業活動が制限されたり、業績や株価に影響が及んだりすることもあります。
近藤真理

中国株に投資する際は、このようなリスクがあることを念頭に置いておくことが大切です。

8,配当目当ての中国株投資では財務状態も必ずチェックする

中国株5.jpg
(画像=andranik123/stock.adobe.com)

香港株は、主要ネット証券3社(SBI、楽天、マネックス)で購入できる。

銘柄数も多く、世界的に有名な大企業から日本でもおなじみの企業、日本企業の香港法人、香港の地場企業と多彩だ。

日本より好配当利回り銘柄が多く、約7割が現地で配当と売却益が非課税になる銘柄なので、香港株は配当を目的とした投資対象として適していると言えるだろう。

ただし配当利回りだけに着目すると、財務状態が悪い企業が少なくない。

業績や財務内容をしっかりチェックして、長期保有に値する企業かどうかを判断するべきだろう。

近藤真理

楽天証券だけが取り扱っている上海A株については、銘柄数が限定され、現地で税金が源泉徴収されるものの、厳選された銘柄だけなので比較的安心して取引できます。それでも、事業内容や業績、財務内容は必ず確認してから取引をするようにしましょう。

9,中国株の利回りについてよくある5つのQ&A

中国株の配当の最大の魅力は?
中国主要銀行の株の配当が高めなこと。中国の銀行株は、預金金利を上回る配当利回りに設定することで、投資家に銀行株の購入を促してきたからだ。

中国株の配当の特徴は?
配当は原則的に期末配当の1回のみ、権利確定日が企業によって異なる、香港市場に上場する香港企業や、外資系企業の香港法人が支払う配当金は原則的に非課税なので、全体の7割の銘柄は配当税がかからないということが挙げられる。

世界的に有名な中国企業であるアリババ、テンセントの配当利回り予想は?
アリババは配当を行っておらず0%、テンセントは0.4%となっている。

中国株を購入できる証券会社は?
SBI証券、楽天証券、マネックス証券だ。

中国株を始める時にチェックすることは?
高配当利回り銘柄を検索する際には、各種指標を参照して、無配当になるリスクや倒産リスクのある銘柄をあらかじめ除外し、財務状態が健全で、配当を支払う体力のある会社かどうかをチェック。そして配当利回りや最低投資金額、投資に回せる余裕資金とのバランスを考慮して判断しよう。

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近藤真理
執筆・近藤真理
南山大学外国語学部卒業。野村證券の引受部門で勤務後、ビジネス系翻訳や工業系翻訳業務に従事。

2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。

■保有資格
証券外務員一種、二種
投資診断士
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
AFP認定者
南山大学外国語学部卒業。野村證券の引受部門で勤務後、ビジネス系翻訳や工業系翻訳業務に従事。
2013年より、総合証券とネット証券を使い分けながら、資産運用を開始。2017年から各種WEBサイトのフリーライターとして活動、現在は経済金融系記事を中心に執筆している。

■保有資格
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投資診断士
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