■ 避難時は「防災換気」で心身の健康維持を

災害時は不安な気持ちになったり、慣れない避難所での生活になったりと、免疫力が低下しがち。感染症を防ぐ3原則「感染源をなくす」「感染経路を断つ」「宿主の免疫力を上げる」のうち、感染経路を断つ「換気」は、避難生活における健康管理のためにも重要です。

三菱電機では、災害時における換気の重要性を認知してほしいと「防災換気」という造語を作りました。精神面、肉体面で健康を損ないがちな避難時、感染対策や生活環境を維持してもらうために、この「防災換気」は重要な行動といえるでしょう。

新型コロナウイルス禍で「換気」の重要性が認知されてきましたが、新型コロナウイルスの感染経路に「エアロゾル感染」があることが分かり、より換気が果たす役割が大きくなってきました。エアロゾルは、ウイルスを含む飛沫から水分が蒸発し、微細な飛沫や飛沫の核が空気中を漂っている状態を指します。

避難所や在宅避難では換気にも気をつけて!三菱電機が「防災換気」を呼びかけ
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

世界保健機関(WHO)やアメリカ疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルスの主な感染経路を「エアロゾル感染」と「飛沫感染」としています。日本政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会でも、2022年7月にエアロゾル感染を踏まえて「換気による対策」を強調した提言を行いました。

避難所や在宅避難では換気にも気をつけて!三菱電機が「防災換気」を呼びかけ
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

換気は、室内の空気を外の空気と入れ換えることを指し、空気が室内で循環する空気清浄機やエアコン(機種によっては換気可能をうたうものも)などとは異なる作用。自然の通風や室内外の温度差を利用した「自然換気」と、機械設備によって強制的に行う「機械換気」の2種類があります。

避難所や在宅避難では換気にも気をつけて!三菱電機が「防災換気」を呼びかけ
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

避難所について、草野さんは「ホテルではなく、危険な場所から避難する“最低限命を守るための村”」と表現します。「お互い協力し合いながら避難所という村を運営することが求められ、さらに協力し合うには、環境づくりに対する正しい知識を避難者各自が持っておくことが重要」と避難所での心得を教えてくれました。

■ 換気のポイントは「空気の流れを作ること」

不特定多数の人々が限られた空間で過ごす避難所は、新型コロナウイルスの感染リスクが高まる「3密(密閉・密集・密接)」状態になりやすい場所。感染拡大を防止するために、換気の果たす役割はとても大きくなり、自主的な運営が求められることから、避難者自らが意識して行動することが求められます。

避難所でまずチェックするのは、機械的な換気設備の有無と、稼働可能であるかどうか。稼働可能な換気設備があれば、出入口や窓の開放を合わせて、理想的な換気ができます。

避難所や在宅避難では換気にも気をつけて!三菱電機が「防災換気」を呼びかけ
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

稼働できる換気設備がない場合は、出入口扉や窓を使っての換気をしましょう。2か所以上開けられる場合は、全開にして常時換気するか、一部解放して常時換気する方法があります。

1か所しか開けられない場合は、扇風機などを活用し、室内に空気の流れを作っておくと効果的。空気の澱みがちな隅の方から開いた窓の方へ空気を押し出してあげると良いでしょう。

天候や季節によっては、常時窓や扉を開けておけない場合があります。その際は換気をする時間を周知し、避難者にその間だけ対策をしてもらうという方法も。

草野さんは「感染対策のみならず、換気が行われていないと空気が滞留し、臭いを含めた不快感の観点でも望ましくありません。『換気』を健康管理の1つと考えることが大切です。『換気」のタイミングでストレッチをするなど、健康のための時間と考えるのもいいですね」とも提案しています。

換気のポイントは、いかに空気をスムーズに流れるようにするか。対角線上の窓を開けたり、換気扇と反対側の窓を開けるのが理想的ですが、自然の風や扇風機、サーキュレーターなどを併用し、窓から外へ排気する流れを作ることが重要です。

■ 自宅避難での「防災換気」ポイント

避難所への道のりに不安があるなどした場合、自宅にとどまり安全を確保する「在宅避難」も避難行動の1つ。万が一の時に備え、防災用品の備蓄のほか、換気設備についても日頃からチェックしておくと良いでしょう。

特に、改正建築基準法で24時間換気システムの設置が義務付けられた2003年6月以前に建てられた住宅の場合、設備に頼らず自分たちの手で空気の流れを作る必要があります。窓の開放をするほか、扇風機などを活用してキッチンや浴室の換気扇から排出するよう、空気の流路を作ってみましょう。

避難所や在宅避難では換気にも気をつけて!三菱電機が「防災換気」を呼びかけ
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

2003年6月以降に建てられた住宅では「2時間で室内の空気を確実に入れ換える」性能の24時間換気システムが設置されていますが、これはずっと稼働させていないと効果を発揮しないもの。また、換気扇のフィルターにゴミやホコリが付着したままだったり、換気口(通気口)を家具などで塞いでいたりすると換気性能が低下してしまいます。

避難所や在宅避難では換気にも気をつけて!三菱電機が「防災換気」を呼びかけ
(画像=『おたくま経済新聞』より引用)

換気扇のフィルターにゴミやホコリがついている場合は、掃除機で定期的に吸い取っておくといいでしょう。もし2年以上フィルターを交換していない場合は、交換が推奨されています。また、停電でシステムが使えなくなる場合に備え、電池式の扇風機を用意することも三菱電機は提案しています。

草野さんは「まず第一に、危険な場所から避難することが大切で、平時からハザードマップなどで土地のリスクを知り、避難行動を家族同士で共有するといったことが必要です。さらにこれまで目を向けたきた『備え』に加え、避難場所における防災にも意識を向け、正しい知識をもって適切な行動がとれるよう、防災意識のアップグレードが今後進んでいけばいいと私は考えています」と語っています。

防災は災害リスクを把握したり、用品などを準備したりする「備え」だけでなく、避難した後の生活にも目を向ける時期に来ています。災害という事態に見舞われても、心身の健康を維持するために、避難場所の換気をはじめとした生活の質を高める工夫も身につけておきたいものです。

情報提供:三菱電機株式会社

文・ 咲村珠樹/提供元・おたくま経済新聞

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