媒介契約の種類と特徴

【2022年最新】不動産売却の基礎知識を解説!タイミングや囲い込み対策・税金で知るべきこと
(画像=『男の隠れ家デジタル』より引用)

この章では、媒介契約の種類と特徴を解説する。

媒介契約の種類

媒介契約には、「一般媒介契約」と「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類がある。

契約一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
他業者への依頼重ねて依頼ができる重ねての依頼ができない重ねての依頼ができない
自己発見取引 ※認められる認められる認められない

※自己発見取引とは、売主が自ら買主を見つけてくること

一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる契約だ。

それに対して、専任媒介契約または専属専任媒介契約(以下、「専任媒介等」と略)は1社の不動産会社にしか売却を依頼できない契約。

専属専任媒介契約では、自己発見取引も禁止されているため、売主が自分で買主を見つけることもできない契約となっている。

専任媒介等に向いている物件

専任媒介等は依頼できる不動産会社が1社となるため、スケジュール調整がしやすくなる点がメリットである。

そのため、専任媒介等は売却と購入を同時に行う「買い替え」を行う場合に向いている。

【専任媒介等に向いている物件例】

・買い替えを行うケース

特に住宅ローンが残っている物件を買い替えする場合には、住みながら売却することが多く、売却と購入のタイミングを合わせることが難しくなる。

1社の不動産会社だけに依頼する専任媒介等であれば、売主の事情を把握して動いてくれるため、スケジュールの調整がしやすい。

一般媒介に向いている物件

一般媒介は複数の不動産会社に売却を依頼できるため、早く売れるというメリットがある。

不動産会社に支払う仲介手数料は成功報酬であるため、一般媒介で複数の不動産会社に依頼しても、支払いは買主を決めてくれた1社だけで良いことになっている。

一般媒介で売却を依頼された不動産会社は仲介手数料を得るために、他社に先駆けて良い条件の買主を決めようとする。

不動産会社同士で競争原理が働くことから、一般媒介では早く売れるようになるのだ。

【一般媒介に向いている物件例】

・条件の良い物件を単純売却するケース(買い替えのようなスケジュール調整を要しない場合)
・離婚の財産分与で売却するケース
・相続した不動産を売却するケース

駅からの距離も近く、築年数の浅いような条件の良い物件は、不動産会社が仲介をしたがるため、一般媒介だと早く売れる。

また、離婚の財産分与や相続した不動産では、早く売らなければならないケースも多いため、一般売却が向いている。

囲い込みの回避方法

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ここでは、厄介な不動産会社による囲い込みの回避方法について解説する。

囲い込みとは

囲い込みとは、売却依頼を受けた不動産会社が他の不動産会社からの買主のあっせんを断り、自社で買主を決めようとする行為だ。

囲い込みは専任媒介等で依頼した場合に、不動産会社が両手仲介にこだわることで発生する。

不動産の仲介には、両手仲介と片手仲介の2種類がある。

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両手仲介とは、売却を依頼した不動産会社が買主も見つけてくる仲介のこと。

それに対して、片手仲介とは売却を依頼した不動産会社とは別の会社が買主を見つけてくる仲介だ。

日本の不動産仲介では、両手仲介も片手仲介も認められている。両手仲介になると、不動産会社は売主からも買主からも仲介手数料を受領することができ、手数料収入は2倍となる。

囲い込みが行われたとしても、売主の希望価格で売却される場合は特に問題はない。

しかし、囲い込みによって売主が損をするケースもあり得る。

例えば、5,000万円の物件をA社に売却依頼したとする。A社が5,000万円で買う買主を見つけてくれば、囲い込まれても問題はないだろう。

ところが、A社が自力では5,000万円の買主を見つけられず、4,800万円で買う買主しか見つけられないときがある。

そのような状況で、B社が5,000万円の買主を見つけて紹介しようとしても、A社がB社の申出を断ってしまうことがある。

A社にとってはB社と5,000万円で片手仲介するよりも、自分で見つけてきた4,800万円の買主で両手仲介をした方が得られる手数料が高くなるからだ。

このように囲い込みがなされると売主が損をしてしまう可能性があるため、売主は囲い込みの回避策を意識する必要がある。

囲い込みの回避方法

囲い込みの回避方法には、以下の2つがある。

【囲い込みの回避方法】

・一般媒介で複数の不動産会社に売却を依頼する
・専任媒介等ではレインズの取引状況管理機能で取引状況を確認する

1つ目は、一般媒介で複数の不動産会社に売却を依頼するという方法。

囲い込みは「1社に囲い込まれる」状態を指すので、そもそも複数の不動産会社に依頼すれば囲い込まれる状態にはならない。

一般媒介になると、各社は競い合って買主を決めるようになるため、売主の希望価格の買主をできる限り早く探そうと努力する。よって、一般媒介で複数の不動産会社に依頼すれば、囲い込みの心配は不要となる。

2つ目は、専任媒介等のときはレインズの取引状況管理機能で取引状況を確認する方法だ。

専任媒介等で売却を依頼すると、不動産会社はレインズと呼ばれる不動産会社しか見ることのできないデータベースに売り物件を載せることが義務付けられている。

売却を依頼した売主は、レインズで自分の物件がきちんと他の不動産会社に情報公開がなされているかを確認することができる。

この確認機能のことを、「取引状況管理機能」と呼んでいる。

レインズ上では、取引状況が以下の3つに分類されている。

取引状況内容
公開中情報が他社に公開されている。他社が買主をあっせんすることが可能であり、囲い込まれていない状態。
書面による購入申込あり買主からの購入申し込みがあり、売却活動がストップしている状態。他社からのあっせんはできない。
売主都合で一時紹介停止中売主が売却を取り止めた状態。他社からのあっせんはできない。

売主は、専任媒介等で売却を依頼すると、不動産会社からレインズの取引状況管理機能を利用できるIDとパスワードが付与される。

レインズ上で情報が「公開中」となっていれば他社が買主をあっせんできる状態であるため、囲い込まれていないと確認できる。

一方で、まだ購入希望者がいないにも関わらず、「書面による購入申込あり」となっていれば他社が買主をあっせんできない。

また、特に売却を取り止やめていないにも関わらず、「売主都合で一時紹介停止中」となっている場合も、他社が買主をあっせんできない状態だ。

身に覚えがないのに「書面による購入申込あり」または「売主都合で一時紹介停止中」となっていれば、囲い込まれている可能性がある。

専任媒介等で売却を依頼した場合には、必ず取引状況管理機能を使って情報が「公開中」となっているかをチェックすることをおすすめする。