大切な資産である不動産は、少しでも高く売りたいものだ。そのため、不動産売却は時間をかけて知識を付け、準備するのが大事。
この記事では「不動産売却」について解説していく。
不動産売却のタイミングや、不動産売却の流れ、査定依頼のコツ、囲い込みの回避方法、税金および確定申告を紹介しよう。
不動産売却のタイミング
最初に不動産売却のタイミングについて解説する。
市況によるタイミング
中古住宅は市況が好調なタイミングで売却すると高く売れる。
以下に、過去10年間における首都圏の中古住宅価格の推移を示す。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)」
ここ数年は、中古住宅価格が上昇しているため、売り時といえる。
気になるコロナ禍以降の値動きであるが、最初の緊急事態宣言が終了して以降は、マンションも戸建ても価格が回復し、上昇傾向は続いている。
直近でも引き続き売り時は続いている状況だ。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watch(2021(令和3)年04月度)」
築年数によるタイミング
不動産は築年数によるタイミングも存在する。
以下に、首都圏におけるマンションと戸建ての築年数別平均価格を示す。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」
中古住宅の価格は、築年数が長くなるほど下がっている。
中古住宅で売りやすいタイミングは、マンションなら築25年以内、戸建てなら築20年以内となる。
理由としては、築25年超のマンションや築20年超の戸建ては、買主が一定の要件を満たす住宅ローンを組んで住宅を購入すると、所定の額を所得税から控除できる住宅ローン控除を原則として利用できないためである。
住宅を売却するなら、買主が住宅ローン控除を利用できる築年数以内で売却することが望ましい。
シーズンによるタイミング
シーズンによるタイミングとしては、毎年2~3月は売却しやすい。
参考までに、2020年~2021年の首都圏における月別住宅取引件数を示す。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「Market Watchサマリーレポート (2021年 10月度)」
毎年2~3月は4月の移動シーズンに先駆けて取引件数が伸びるため、売却しやすくなっている。
不動産売却の3つの方法
ここまで見てきた前提を踏まえて、ここからは不動産売却の3つの方法を紹介する。
仲介
仲介とは、不動産会社に買主をあっせんしてもらい、直接、買主へ売却する方法だ。不動産の売却といえば、仲介による売却を指すことが一般的となっている。仲介は市場価格で売却できるため、高く売れる点がメリットである。
ただし、売却に時間がかかる点がデメリットとなる。また、仲介で売却した場合には、仲介手数料が発生する。
買取
買取とは、転売を目的とした不動産会社への売却のことを指す。不動産会社が下取り価格で購入するため、買取による売却価格は安い。買取の価格は、仲介の価格の80%程度が相場だ。
買取は、不動産会社に直接売ることからすぐに売却できるメリットがある。不動産会社にもよるが、3日~2週間程度で売却が可能だ。
また、仲介ではないため、仲介手数料もかからない。ただし、買取は売却価格が安くなることがデメリットだ。
任意売却
任意売却とは、住宅ローンを滞納した場合や、売却額で住宅ローン残債を完済できない場合の売却方法。
債権者(銀行のこと)のための特殊な売却方法であるため、任意売却には債権者の合意が必要だ。
メリットとしては、住宅ローンを完済できない状況でも売却できる点である。
一方で、デメリットとしては、住宅ローンを完済できないため、債務不履行を発生させたことになり、ブラックリスト(信用情報機関の事故情報名簿のこと)に名前が載ってしまう点だ。
任意売却は、経済的に困窮している場合等の例外的な状況でない限り選択しない特殊な売却方法となる。