家族員が多い時代は「生命・健康・自分」が一番
「平均世帯人員」が4.25人の時代では「一番大切なもの」として「家族・子ども」ではなく、「生命・健康・自分」が一番に挙げられていたことが分かる。
これは4人以上の世帯員で暮らしていた時代では、「家族」も「子ども」もあまりにも身近だったために、調査対象者にとっても「大事なもの」という意識に乏しく、いわば水や空気のような存在であったからであろう。
ただし、もう一つの伝統的な「家・先祖」はこの段階でももはや選ばれなくなっていた。だから「家・先祖」よりも、現在の「家族・子ども」本位の意識がこの時代から醸成されたこともうかがえる。
「家族・子ども」が一番大切
そして、「平均世帯人員」が3.39人の1973年からこの傾向は逆転を開始する。そこからは「失って知る大事なもの」として「家族・子ども」が認識され始めた。
「平均世帯人員」が2.88人になった1993年から「家族・子ども」は過半数となり、この動向が2013年の調査結果まで確認できる。2018年の結果ではそれは48%にやや下がったが、それでも「生命・健康・自分」と「愛情・精神」の合計46%よりも多く出た。
その意味では、単身化が進み未婚率が上昇しつつあるなかで現代日本人は、依然として「失って知る大事なもの」として「家族・子ども」を位置付けているのであろう。