日本新記録ラッシュ
単年度出生数の一貫した減少の影響は、1982年から始まった「年少人口数」の41年間連続減少をひき起こした。具体的には総務省が2022年5月4日に発表した「人口推計」(2022年4月1日現在)では1465万人とされ、同じく「年少人口率」は1975年から48年間連続減少を記録して、11.7%にまで落ち込んだと推計された。しかし今回の住民基本台帳データでは、前者は1480万人となり、後者は12.0%になった。データベースが異なり、データも違いがあるが、この両者が第4と第5の日本新記録である。
加えて、あと二つの日本新記録が誕生した。すなわち、人口構成を3分割すると、65歳以上の高齢者の比率が29.00%になり、6つ目の日本新を記録したが、高齢者実数の3573万人も7つ目の日本新記録である注6)。さらに「年少人口」と「高齢人口」を除いた「生産年齢人口」が58.99%にまで低下したことが8つ目の日本新記録として指摘できる。
ただし日本人の場合でいえば、実際には18歳までのほぼ全員が高校に進学しているから、16歳から18歳までは実際には「生産年齢人口」ではない。すでに「20歳~69歳」までを「生産年齢人口」と呼んだほうが現実に合っている。
すでに、「15歳~64歳」を「生産年齢」と見なすのは先進国では実態離れではあるが、この統計を必要とする発展途上国をかかえる国連の国際比較のため、および過去からの時系列的な推移を知るためには依然として意味がある。
これらいくつもの人口変動によって小家族化が進み、日本人・複数国籍1世帯当たり平均人員は2.11人となり、これが9つ目の日本新記録となった。
小家族化
表1では「平均世帯人員」を示す2つの調査結果を並列した。世帯の定義は「居住と生計を共にしている人の集まり」であり、「書生さん」や「お手伝いさん」(当時の表現では女中さん)を含んでいた明治・大正・昭和前期とは異なり、現在の日本ではほぼ血縁を媒介とした「家族」と同義であるが、統計上は今でも「世帯」が使われている。

国勢調査では調査票を使った訪問面接か自己記入式の結果が得られ、「住民基本台帳」の集計結果とはやや性質が異なる。この30年間の記録を見ても、国勢調査のほうがわずかながら「平均世帯人員」数は多いが、全体的な趨勢としては両者ともに漸減傾向を示し、データとしても「小家族化」が浮き彫りになってきた。
要約すれば、令和の今日、日本人総人口が連続して減少しつつある中で、高齢者だけが着実に増加する高齢化がますます顕著になった。しかし、年少人口数もその比率も合わせて40年間以上も減少傾向を示すという少子化も続いている。子どもは減り、年寄りは増えるなかで、「平均世帯人員」もまた漸減中である。