特に今日の試合は下馬評では圧倒的にペイトリオッツ勝利とされていながら3クオーターまでアトランタがガンガン押してて、こりゃ勝ちそう!ってなってたので、彼と話しながら、「こういう時にアトランタの躍進を応援したい気持ち、みたいなのがアンチ・マイノリティと繋がってるんだと思う」というと、

>>>
「でも僕、どっちかっていうとこういう時アトランタ応援したくなるタイプですけどね」
<<<

って彼が言ってたのには、物凄い当たり前のことのようながら凄く「盲点」を突かれたような気分すらありました。そうか、そりゃそうだよなあ、ゲイにも色んな人がいるんだし!

だから単に「誤解」の問題なんじゃないかという気もします。でも、面倒なようで「マジョリティ側が何を恐れているか」についてこの視点から理解できるようになると、「マイノリティ側からの要求」を「警戒されずに聞いてもらえる率」がハネ上がると思います。

彼も言ってたけど、「配慮するのはシャクだって気持ちは正直あるけどそれが必要なんでしょうね」っていう領域を、まあお互いの努力で埋めなくちゃいけない時代なんじゃないかと。

要するに社会の運営の「暗黙知部分」ってあるわけですよね。女性だったり移民だったり色んなマイノリティだったりすると、その「暗黙知」が一切ない状態の方が居心地が良い(ように見える)わけです。

何が良くて何が悪いかの基準が明示的に示されていて、「空気を読む必要」が一切なく、デジタルかつ記号的にその基準さえ満たしていれば誰に文句を言われることもなくその「成果」が得られる社会になってくれた方がいい(ように見える)。そしてその「基準」を形式的にちゃんと満たしてない人は「ちゃんと満たしている私達」の邪魔をしてこないように徹底的に排除されてくれた方がいい(ように見える)。

特に色んなマイノリティの当事者たちの中でも「目立つ運動をしメッセージを社会に発信する役割」の人は先鋭的にそういう志向を持つことが多く、社会の末端まで透明化して、客観的基準で評価される社会になれば、自分たちのように虐げられてきたマイノリティがちゃんと「正統な権利」を得られる社会になるのだ・・・というふうに考えがちです。

問題は、そのプロセスが破壊する「暗黙知部分」が、例えばあなたが普通に道を歩いていてそこら辺のオッサンに殴りかかられて暴行されたり強盗されたりしないように「日常的に彼らを説得し続ける」ために超大事な仕組みだったりするってことなんですよね。

メディア的に世界中で共有できる文脈は、あらゆる「地元の地元民同士の愛着や連携力」へ向けられるべき人々の感情エネルギーをガンガン引剥していって、それを「世界で最もハンサムな男百選」に何度も入選するスター選手の方に振り向けてしまう力があるわけです。

そうすると、数字的・メディア的に評価されづらい性質を持っている「縁の下の力持ちさんたち」を徹底的に視界から排除していくような文化になっていく危険性がある。

「ブランド化された地域でもない普通の地域の、普通に生きているマジョリティの男」に対する自己効力感は果てしなく削られて行くことになる。巨大な「世界共有文脈の延長」に位置づければすぐに回りの注意を引きつけられるが、地味な普通の会社に対してちゃんと「なんとかしたい」と思う当事者意識を共有する力はメチャクチャに破壊されていく。

結果として、「啓蒙主義の光」が充分にあたっている欧米社会ならまだましだが、実際に相当な独裁政権でもないと「その国の安定」を守れない不安定さを抱えてしまっている国が今も世界に沢山ある時代なわけです。

つまり、前回のブログでも書いたこの図↓のような状況が世界中どこにでもあるわけですね。

人はなぜ差別をするのかを根本的に考えてみる。
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

ぜひ細かいセリフまで読んでほしいんですが(ネットでの再利用自由なのでぜひ議論のネタにしてください)・・・

「日本死ね!」とか「日本って無駄な会議多いよね。ほんとクソだわ」っていう方向でいくら人々の感情が暴走してても全然どうしようもないわけですよ。盛り上がりはするけど解決はできない。その方向で暴走させると、結局トランプ時代の「二極分化した罵り合い」だけがヒートアップして全然「相手側の事情」なんてこれっぽっちも視野に入ってこない状態にどんどんなっていく。

大事なのは、

>>>
「日本って無駄な会議多くてクソだよね」
<<<

という形で噴出しているエネルギーが、

>>>
「”ウチの会社”の”この会議”が無駄。それを辞めちゃった上で代替する情報共有手段はコレ」
<<<

てなれるかどうか。

あらゆる「マイノリティ保護運動」は、「社会の中のこの力」をメチャクチャに破壊してしまう副作用を持つ形で進んでいっていることが多い(少なくともそういう印象を持たれてしまっている)。それへの反発が起きているんだけど、適切な形でまとめられないから、なんか移民排斥だったりマイノリティ差別だったり白人至上主義だったり・・・っていうイビツな形になってしまってるんですよね。

そんなの俺たち私達の責任じゃないだろ!と、マイノリティ当事者の方々が怒りたい気持ちはわかりますが、その点をなんとかしなくちゃ、マジョリティ側としても引くに引けない状態なんですよ。そこを引いて社会全体の秩序が崩壊状態になってそこら辺歩くだけでいつ殴りかかられるかわからんみたいな世界になったら誰のためにもならないので。