ともあれ、5時間もチャットするなんて普通はありえない機会なので、色々と普段から思ってたことを根堀り葉掘り聞いたり、こっちの意見も言わせてもらったり・・・したんですけどね。

未だに、この記事の趣旨の、「マジョリティ側のこの”一点”さえ理解して貰えればもっと仲良くなれるはずなのに」っていう「論点の設定の仕方」の時点で受け入れられない人もいると思うんですけどね。

そりゃマイノリティの人には、我々には理解できないような日常的な苦労が沢山あるんだと思うし、その苦労自体を理解してくれない社会に対してやはり怒りを持っておられるだろうから、気持ちはわからんでもないけど。

わからんでもないけど、まあ一度読んでみてくれたら、そもそも「同じ気持ち自分たちも持ってるわ」って思ってくれると思うし、そもそも例えば同性婚に「マジョリティ」の人たちが反対する「理由」が、「全く理解できない!」状態よりは「理由はわかるから解決策を一緒に考えよう」ってなる方が絶対有益ですよね。

だから我慢して読んでほしいんですけどね。

スーパーボウルの試合見ながらだったんでそのネタで話してみたんですが、今回の試合は、日本のプロ野球で言うと「読売巨人軍と広島カープの戦い」みたいな感じなんですよね。この前の日本シリーズだと「日ハムvsカープ」でもイメージが合うかもしれない。

ニューイングランドペイトリオッツはボストンという大都会ベースのチームで、2000年代以降は誰もが認める最強チームで超名門。それを率いるトム・ブレイディは一人で過去四回もスーパーボウルを征してるだけじゃなくて奥さんはスーパーモデルだわ本人も「最もハンサムな男」ランキングに何度もランクインするイケメンだわで、とにかくNFLの「顔」といっていいぐらいの選手です。

(私が毎年書いてるスーパーボウル紹介ブログの昨年の記事の図↓の左下にいる人です。クリックで拡大します)

人はなぜ差別をするのかを根本的に考えてみる。
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

それに対してアトランタ・ファルコンズは随分地味なチームで。いやペイトリオッツに比べれば、ですけど。QBのマット・ライアンは良い選手だけど今までポストシーズンではほとんど勝てていなかったような、「傑出しきれない」選手だったんですよね。

だけど今季はそろそろベテランの域に入った彼を色んな若手選手がサポートして噛み合って、爆発的な攻撃力を発揮するチームに生まれ変わった。メジャーリーグから黒田投手が帰ってきて、その「男・黒田」に若手選手がワイワイ繋がって凄いチームに化けた昨年のカープみたいな感じで。

つまり、

>>>
メディア的に大注目を集めるスーパースターが率いる超名門チーム
vs
田舎の多少マイナー気味のチームだけど、ベテランQBに若手がガッチリ噛み合って大化けしたチーム
<<<

の戦いだったんですよ。

でね、メチャクチャ単純化して言うので異論反論は当然あっていいんですけど、

この「アトランタを応援したい気持ち」と、マイノリティを抑圧してしまうエネルギーは同じもの

なんですよね。

つまり、単体ではメディア的注目を集められるような超スター選手がいるわけでもないし、ボストンやニューヨークみたいな大都会でもないし、カリフォルニアのチームのように先進的な土地でもない。「フツーの田舎町(CNNやコカコーラはあるけど)」のチームで。

だけど、「男・黒田」を盛りたてるカープのように、地味だけど実力派のベテランと若手が噛み合って「よっしゃやったるぜぇ!」的なガッツが突然うまく噛み合って、スーパースターがいる金満チームにも勝ててしまう時ってあるかも???みたいなストーリーが持っている志向性と、それによって救われる気持ちになる人が沢山いるっていう話なんですよね。

トランプ大統領が選挙後によく、「忘れ去られた人たちはもう忘れられない」的なメッセージを発してましたけど、実質はともかく「まさにそういうフィーリング」なんですよね。

で、あらゆる「マイノリティの権利保護運動」は、”見た感じ”この「アトランタ・ファルコンズ的なものを破壊する」ように見えちゃうんですよ。

ここで大事なのは「見た感じ」と「見えちゃう」のところです。要は必ずしも、別にあらゆるマイノリティ当事者が主観的に「トム・ブレイディ側に立ってファルコンズをディスるタイプ」というわけでは全然ないのに、運動が先鋭化すると副作用としてそうなっちゃう、あるいは「そのように見えてしまう」わけです。

でもマイノリティ運動側としては全然そんな意図があってやってるわけじゃないから、「こっちとしては当然の権利を主張してるだけなのになんでコイツらはこんな怒ってるの?」ってなることになる。

ここの「誤解」さえ超えられたら、本当は、マジョリティに属する人たちがゲイライツを否定する「必然性」も本来ないし、女性や移民の社会進出だってもっとマイルドに調和が取れた形で進むはずだと私は考えています。

「社会運動」っぽい言葉で言うと、フェミニズムやマイノリティ擁護運動が「ネオリベ」と結託するから問題なんだ・・・って最近言われる批判?ってのがあるらしいけどそういうのに近いかもしれない。