目次
相続した財産の名義変更を行う
預貯金
不動産
株式など
準確定申告と納税
準確定申告とは
準確定申告が必要なケース
相続した財産の名義変更を行う
遺産分割協議の終了後、相続人は相続した財産の名義変更を行わなければなりません。名義変更の方法は、相続した財産の種類によって異なります。
預貯金
口座名義人の死亡が確認できると、金融機関は該当する口座を凍結します。以降は、預貯金の相続手続きが行われるまで、お金の引き出しは一切できません。
預貯金を相続した人は、必要書類と一緒に「相続手続依頼書」を金融機関に提出します。複数人の戸籍謄本や法定相続人全員の印鑑証明書を求められるケースもあるため、必要書類は早めに確認をしておきましょう。手続き完了後、相続人に払い戻しが行われます。
預貯金の相続手続きに期限はありませんが、相続税の申告期限までに手続きを済ませるのが望ましいでしょう。
不動産
不動産を相続した人は、不動産の名義変更(相続登記)を行います。相続登記は、2024年4月1日以降は義務化される予定です。相続人は、「不動産の所有権の取得を知った日から3年以内」に、相続登記を行わなければなりません。
法改正以前の相続についても登記義務化の対象となるため、先延ばしをせずに手続きを進めましょう。相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。主な必要書類は以下の通りです。
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人の住民票
- 相続人の印鑑証明書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 遺産分割協議書
- 不動産関係書類(固定資産評価証明書など)
参考:あなたと家族をつなぐ相続登記 ~相続登記・遺産分割を進めましょう~|法務省
株式など
故人が所有していた株式や債券、投資信託などは、故人の証券口座内では売却ができません。相続人の証券口座へ移管したうえで売却を行いましょう。
- 相続人が証券口座を開設する
- 移管手続きをする
- 売却の手続きをする
移管可能な証券口座を相続人が所有していない場合、口座開設から移管手続きの完了までにかかる日数は2~3週間程度です。
株式や債券の価格は日々変動するため、売却するタイミングによって、手にできる金額が異なります。株式を売却して利益が出ると、「譲渡所得税」が課税される点にも留意しましょう。
準確定申告と納税
故人が納税者であった場合、相続人は納税地の税務署に「準確定申告書」を提出し、所得税を納める必要があります。準確定申告が必要なケースや、申告のルールを見ていきましょう。
準確定申告とは
「準確定申告」とは、本来故人が行うべき確定申告を相続人が代わりに行うことです。相続人は「1月1日~死亡した日」までに確定した所得金額と税額を計算し、「相続の開始を知った日の翌日から4カ月以内」に申告・納税をしなければなりません。
相続人が2人以上いる場合、以下のいずれかの方法により準確定申告書を提出します。提出先は「被相続人の死亡当時の納税地の税務署長」です。
- 各相続人の連署で提出する
- 他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出する(他の相続人に申告内容を通知しなければならない) 参考:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁
準確定申告が必要なケース
収入を得ていたすべての人が準確定申告の対象になるとは限りません。準確定申告が必要なのは、以下のようなケースです。
- 基礎控除額以上の事業所得や不動産所得がある人
- 給与所得が2,000万円以上ある人
- 2カ所以上から給与を受け取っている人
- 公的年金などの収入が400万円を超える人
- 外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある人
詳細は、国税庁のウェブサイトにある「確定申告が必要な方」を確認しましょう。
本来申告が不要な人でも、準確定申告により「還付金」が生じるケースがあります。医療費控除や住宅ローン控除、寄付金控除などは、準確定申告をしなければ還付は受けられません。
参考:確定申告が必要な方|国税庁