しごとの創出に「消費」が対応しなかった
いくつかの事例を検討した結果からまとめると、現今の地方創生論の欠点の一つに「しごと」の創出が盛んに論じられながら、「しごと」が作り出す供給面の商品やサービスの需要ないしは消費への配慮不足があげられる。
「しごと」の先には供給(生産)があり、それは国民ないしは住民の需要(消費)と対応する。このメカニズムが壊れると、「しごと」が永続的になりえないから、該当する地方日本では「まち」も「ひと」も長続きしない。
産業発展の条件
産業の発展には、①土地、労働、資本、天然資源、歴史資源、②組織、リーダーシップ、③初等教育水準の向上、④高等教育の普及、⑤熟練者、専門家の存在、⑥上昇移動の機会増加、⑦高い消費意欲の住民、⑧政治の安定による社会的調整力の増大、などの相乗効果が期待されることは今も昔も同じである。
①と②による産業化は、地方創生でも消費財や嗜好品奢侈品を作り出すだけではなく、必需品や資本財を創出する。結果としてその変化は消費財にも波及する。すなわち、地方創生でも生産財、資本財、消費財などの区別が可能であり、地方創生活動でも生産財を輸出や移出して、消費財を輸入移入したりできるし、逆もまた存在する。