国の省庁の姿勢と薪ストーブ関連業界

都道府県や国の諸官庁、各政党やその議員に対して、あらゆる方法やルートで薪ストーブに関する諸問題を提示し、問題であることを認識いただき対処への道を開くように要請を続けてきたが、前稿②の通り、すべて無回答無視であった。「はい、貴重なご意見を」「いえ、それは脱炭素なので問題なし」の何れかすらの、手旗信号程度の回答すら頂けない。

ここまで、下は地方自治体、議員から上は官庁や政党、政策レベル関係者までもが完全無視、それも、他の多くの被害者もそのような「非対応」をされている現実があった。これは絶対に異常なことである。ここまで完全に一貫して無視非対応を貫徹する頑なさには、必ず大きな大人の事情が存在するはずだ。

そこに至るまでの事情を読み解くために、以下に(各機関や団体等のサイトで自ら公表されている)事実を列挙してみる。それぞれがどのような意味を持つか、深く考察されたい。(*印で注釈をつけておくことにする)

なお、本稿公開以降に各サイト開設者による都合よい改変修正もあり得るので、必要に応じて公開されているサイトの本日現在(2022/07/06)のスクリーンショットを別稿で掲示するかもしれない。

● 農林水産省

農林水産省の本庁舎の1階「消費者の部屋」には、薪ストーブが据え付けられている。庁舎の外側には、屋上まで届く異様に長い、狼煙にでも流用可能と思える程の煙突が伸びているのは、恐らくあまり知られていない事だとは思われる。

農水省の立場としては、林業振興が主な理由で薪ストーブを推奨している。脱炭素と間伐材の有効利用と言う(但し現実の家屋設置の薪ストーブでは廃材や雑多な伐採樹木、果てはゴミまで投入し多煙黒煙事例報告有り、乾燥間伐材使用は必ずしも守られていない)。

まずはこれをご覧頂きたい。

*ここまでして都心で薪ストーブ使用を広報する必要性に疑問。

この写真の右下に置かれている薪ストーブの前面下部の、銀色のプレートに何が書かれているか、ご注意頂きたい。「日本暖炉薪ストーブ協会」が設置者。

*農林水産関係の議員は多い。
*薪ストーブ使用議員も多い。今回は調査で判明の氏名や人数は明示を控える。
*農林水産関係議員は、この薪ストーブ業界との関係性は否定できない。

● 日本暖炉薪ストーブ協会

日本暖炉薪ストーブ協会

*排煙の有害性については一切言及せず、欧米並みの薪ストーブの普及を目指すという。

人にも環境にも優しい暖炉・薪ストーブ

*人には当然に有害な煙。欧州では環境にも優しくないとされているが。
*周辺環境への配慮の文言は一切なし。

事業概要
関係諸法規に関する諸活動
対外関係 : 国土交通省、経済産業省、環境省、林野庁、消防庁、地方公共団体等との情報交換
関連・業界 : 燃料関係業界との交流、試験機関との連携

*関係諸法規を厳しくしないようなロビー活動とも読めなくもない。
*ここに列挙の官庁と密接な関係を明示。これが規制要望が無視される最大の理由。
*試験機関との接近の程度は問題。(US.EPAでは業界有利となる試験実施)

行政との連携
平成26年1月 農林水産省 「消費者の部屋」へ薪ストーブの設置
平成24年8月発行 環境省「木質バイオマスストーブ 環境ガイドブック」の一部を監修
「薪・ペレットストーブの環境にやさしい使い方」
「木質バイオマスストーブ環境ガイドライン 」監修。

*煤煙発生者側の立場から都合よく監修されている諸冊子の科学的疑問。
*何の権限があるのか、行政と連携するという。

お問い合わせ
以下内容には非対応との但し書き。

近所の暖炉・薪ストーブ使用に関するクレーム
暖炉・薪ストーブの使用方法に関する質問
暖炉・薪ストーブの性能に関する質問
暖炉・薪ストーブの施工に関する質問
ストーブ販売店や施工店に対するクレーム
薪ストーブメーカー・輸入販売業者に対するクレーム
*この但し書きから、クレームが相当数に多いのは当然に想定できる。

● 薪ストーブ工業会

薪ストーブ工業会

*排煙の有害性については一切言及せず、欧米並みの薪ストーブの普及を目指すという。

(4) 薪ストーブおよび木質ペレット産業に関する行政施策についての提言及び参画

*何の権限があるのか、行政に提言をするという。

設置施工基準は考慮するものの、排煙については全く考慮されず。

*排煙の基準考慮は記載なし。周辺環境への配慮の文言は一切なし。

● 薪ストーブ製造販売店やその他NPO団体等

個別の例示は控えるが、人と環境にやさしく、自然素材の煙は完全に無害であると断言する例が多数。煙の有害性には一切言及せず、(表向きは)脱炭素と林業振興のためであるとする。近隣への配慮を充分に説明している例もほぼ皆無。「実害といえるほどの迷惑になることは滅多に無い」と断言。乾燥した薪、EPA準拠高級機、何次燃焼や触媒で煤煙悪臭は出ない(はず)と断言。廃材や何でも燃やせて、無煙無臭との宣伝。

設置施工に関する基準規格の検討のみ。日本の密集住環境に適合する厳しい排煙基準規制を言う者は皆無。周辺の煙への困惑に対して、「火を敬え」と教説する者までいる。

*もはや論外の領域である。周辺家屋への影響は全く考慮されていない。
*売って設置したもの勝ちという状況。使用者に全責任を負わせる姿勢。