関心縁による集まりでの役割

かなり前から全国の自治体では高齢者福祉行政の一環として、さまざまな地域集団、趣味のサークル、娯楽の機会などを社会福祉協議会とともに用意してきた。それに応じて高齢者も囲碁将棋やパークゴルフやカラオケなど自分の関心に従って、「関心縁」のなかで同好者の集まりを探して交流する。

その人の関心が広がれば、いくつもの「関心縁」が共存して、「毎日が日曜日」の状態とは無縁になる。しかし、本人の努力と運がなければ、流動役割としての地域役割も獲得しえない。

高齢者の生きがいは「役割回復」から

そうすると、人類役割は固定的としても、高齢者になれば、家族役割、職場役割、地域役割のすべてで縮小もしくは消失してしまう恐れに直面する。そのままでは高齢者の「生きがい」は得られないから、「役割」論に基づき「役割回復」へと歩みだすための道を支援することが、政治や行政における新しい高齢者支援の領域になる。

この方面の高齢者対策は、年金、医療、介護などの福祉面での支援とはかなり異質ではあるが、「役割回復」を基軸とする支援課題は今後とも不可避となるはずである。

なぜなら、「無縁社会」が高齢化とともに顕在化してきたからである。