『新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画』にも使える
図2のような「高齢者生きがい促進要因」の知見がなければ、6月7日に公表された『新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画』(案)で謳われた、「在宅高齢者について、……(中略)介護予防や社会参加活動の場の充実の観点から、地域全体での活動を支援していく」(同上:9)などの文言は、単なる作文になってしまう。
何を求めてのどのような支援かが鮮明にならないと、せっかくの学術的知見が活かされない。
高校入試で出題されない科目が高齢者「生きがい」の8割を占める
生きる喜びとしての「生きがい」では、「趣味」だけではなく、男はそれまでの仕事の延長にある社会活動やその仲間との交流、女は家族との交流や近隣の友人との活動に、それぞれ生きがいを強く感じることがこれまでの諸研究により判明している。
もちろん「趣味」は極めて重要である。仮に「趣味」がないと自己判断するなら、今すぐにでも高校入試で出題されない科目(音楽、美術、保健体育、技術家庭)にそれを求めたい。
なぜなら日本人が「趣味」と考えるものの8割を分類すると、音楽、美術、保健体育、技術家庭に含まれるからである注8)。