日本生産性本部調査結果にみるテレワーク実施率
しかも、北海道の中小・零細企業のうち73.8%が「テレワークできない」と回答した比率は、日本生産性本部が2022年4月までに繰り返し実施した「働く人の意識に関する調査」結果でも裏付けられていた。
調査対象者1100名は、20歳以上のわが国の企業・団体に雇用されている者(雇用者=就業者から自営業者、家族従業者等を除いたもの)である注2)。柔軟な働き方のうち、一般に「自宅での勤務」、「サテライトオフィス、テレワークセンター等の特定の施設での勤務」、「モバイルワーク(特定の施設ではなく、カフェ、公園など、一般的な場所を利用した勤務)」などを総称して「テレワーク」と定義して行ったのが日本生産性本部の調査である。
回答に見るテレワークの実施率は22年1月調査では18.5%と過去最低を記録したが、4月調査では20.0%とやや増加した。ただし、前回との統計的有意差は無い。
念のために過去7回の調査結果を図1でまとめると、日本生産性本部による「働く人の意識に関する調査」では「テレワーク実施率」は平均で20%程度であり、「実施せず」が80%前後だったことが分かる。これは先ほどの北海道信用金庫による調査結果や計算結果と整合する。
オンライン授業による教育格差
これは、学校教育でのオンライン授業も同じである。この半年間、コロナ感染者のクラスターによる義務教育での学級閉鎖はもはや珍しくない。その代替でもあるオンライン授業は、パソコン環境の整備も含めて教育格差を新たに生み出す心配がある。
教室は対面での授業で生徒の各教科への理解を進めるとともに、集団生活の経験やコミュニケーションの場でもあるので、登校しなければそれらの体験が無くなる。加えて、音楽や体育や美術図工など実習系の科目の指導が困難になるであろう。
コミュニケーションにおける協力と拘束の機能が教室で経験できないことは、低学年の生徒にはかなり痛手となる。このような問題に対して、コロナ禍に限らず、リスク発生時点の生産現場や教室や買い物先での「行動変容」の具体的支援策が待たれる。