「半沢直樹」でもテレワークが2割止まり

「テレワークの要請」実現がいかに困難かは、テレビドラマでも容易に分かる。たとえば、視聴率を稼いだドラマ「半沢直樹」(TBS)で示されたように、直樹の実家の「半沢ネジ」、東京中央銀行大阪西支店の取引先で倒産した「竹下金属」や計画倒産の「西大阪スチール」、そして片道切符の行先であった「タミヤ電機」などはほぼテレワークが不可能であった。

さらに巨大企業である東京中央銀行西支店と本店の融資部や営業部などでも、現場で人に会う仕事が不可欠であった。そうすると、全体の2割を占める巨大企業と大企業の部局単位、そして官公庁と情報関係の企業1割合計でそれが可能になっても、「出勤者の7割削減」の手段としてのテレワークは、日本社会全体では0.3×0.7=0.21となる。すなわちテレワーク可能な企業は全体の2割程度という結果しか得られないから、働く人全体での「人流抑制」など不可能であるという予測が成立する。

テレワークでは職場における協力と拘束が困難

加えて「テレワーク7割」要請では、職場における協力と拘束という両方の機能への配慮がなされていない。

一般に対面的職場では、日常的接触がコミュニケーションを容易にして、上司からの指示や同僚との協力関係による相互作用もまた円滑である。そこには相互協力とともに相互拘束の2機能が働き、職場独特の雰囲気が醸成されている。

このような組織の現状を無視した画一的「テレワーク7割」依頼策では、感染防止の効果も乏しいのではないか。