目次
■沖縄観光のマストスポット、首里城へ
■夜は「味と踊りの竜宮城うらしま」で琉球料理と舞踊を堪能
■沖縄観光のマストスポット、首里城へ

首里城へは子供の頃も含め数回訪れたことがある。30年前はその多くが工事用のシートに囲われていたが、10年ほど前に訪れた際には工事がかなり進んでいて、青い空を背にした美しい朱色の正殿に圧倒されたのを覚えている。しかし、約30年にも及ぶ復元工事が完了した2019年1月から、わずか10ヶ月後に大規模火災が発生。正殿、北殿、南殿が焼失した。
復元完了前とはいえ10年前に見ておいて良かったな、そんなことを考えながら再び訪れた首里城は記憶の中のそれとは違う姿をしていた。とても不思議な気持ちである。



とはいえ、これはこれで貴重な機会。再度の復興へ向けて前向きにあゆみ出した今だからこそ、いや、今でしか見られない景観でもある。その証拠に、これまで見学したことのなかった「正殿遺構」や、「首里城の赤瓦」「獅子瓦(残存物)」などを近くで見ることができた。
見学できるすべての場所を見て歩き、数奇な運命を辿った長い歴史の中、幾度も逆境から這い上がり復興を遂げてきた沖縄の人々の強さを垣間見た気がした。

首里城公園
沖縄県那覇市首里金城町1-2
■夜は「味と踊りの竜宮城うらしま」で琉球料理と舞踊を堪能
沖縄県に限らずその地域で昔から食されてきた料理は、その土地を理解するための重要な要素の一つ。ミミガー(豚の耳皮)やティビチ(豚足)といった豚肉料理は沖縄以外ではあまり食されることのない部位であるし、島ラッキョウや紅芋など沖縄ならではの野菜も多い。
居酒屋で食べられるような家庭的な沖縄料理は幾度も食したことがあるが、「琉球料理」と呼ばれるものはほぼ未経験だ。というわけで、(一社)琉球料理保存協会の専務理事を務めている與儀哲治さんのお店「味と踊りの竜宮城うらしま」で、伝統的な琉球料理を味わいつつ、琉球舞踏を見学させていただいた。


1974年に創業した同店は沖縄の味に慣れ親しんでいない観光客でも美味しく味わえるよう、創業より琉球料理の研究を続けているという。
メニューはコース料理が基本となっており、琉球料理で4種類、刺身や茶碗蒸しなどの和食も組み合わせた和琉会席で4種類とラインアップが豊富。予約の際に事前にHPで確認して選ぶことができるので「琉球料理で食べられないものがあったらどうしよう?」という不安も少ない。
今回は琉球料理の「芭蕉」(全14品/税込7700円)コースを予約した。お品書きは以下の通り。
・前菜(島ラッキョウの漬物・ミヌダル(豚ロースの黒ゴマ蒸し)・トウフヨウ)
・ミミガーのピーナツ和え(豚の耳皮)
・スヌイの酢の物(もずく)
・ジーマーミトウフ(落花生豆腐)
・刺身
・クーブイリチー(昆布の炒め煮)
・ラフテー(豚の三枚肉の角煮)
・イセエビ雲丹焼き
・ティビチ(豚足)
・沖縄天ぷら(紅芋・もずく・島ラッキョウ)
・ジューシー(炊き込み御飯)
・中味の吸物(豚モツ)
・香の物
・デザート
19時から舞踊の舞台が始まるため、18時半頃に入店し着席、食事を堪能しつつ舞踊が始まるのを待つ。
前菜から始まり、刺身が提供される頃まで“沖縄といえば”のオリオンビールと共に箸を進める。一品一品、丁寧に下ごしらえされた料理の数々は、現代人の舌にも合う味付けだなと感じる。
いや、むしろ想像以上に美味しい。


さぁ、そろそろメインディッシュかなぁと思っていたところ、客席の照明が落とされ三線の音が流れ始める。どうやら琉球舞踊が始まるようだ。
ここ「うらしま」では18世紀頃から続く古典舞踊と、明治以降に庶民の風俗や習慣を題材に生まれた雑踊(ぞうおどり)まで、幅広い演目が毎日10曲(前後半で5曲に分け)披露される。
付け加えると、舞台に立つのは琉球古典芸能コンクールで新人賞以上を獲得した踊りのエキスパートのみというから、気軽に食事を楽しみつつ本格的な琉球舞踊に触れられる場所なのだ。

前半の1曲目は「かぎやで風(かじゃでぃふう)」という最高峰の格式高い古典舞踊だ。テレビで見たことのある琉球ならではの装いで、時に艶やかに、時に勇しく舞う踊り手さんにすっかり魅せられ、食事の手が止まってしまう。
ふと客席を見渡すと他の客も食事の手を止め、食い入るように踊りを眺めたり、動画や写真撮影をしている。それぞれの演目に物語性を感じながら見入る5曲30分だった。
前半が終わったところで手が止まっていた食事を再開する。箸で簡単に切れるほど柔らかく煮込まれたラフテー、イセエビにウニをふんだんに乗せた焼き物、プルプルでしっとり食べ応え満点のティビチなどなど、滋味深い料理の数々に舌鼓を打ちながら後半の踊りを楽しみに待つ。




後半の1曲目は琉球舞踊の中で最も優美で豪華絢爛な「四つ竹(よつたけ)」だ。美しい着物に花笠をかぶった踊り手が四つ竹を打ち鳴らしながら華麗に舞う。せっかくだから記念にとカメラで撮影するも、その優雅さにファインダーを覗くのを辞め、しっかりと自分の目で楽しませてもらった。
その後も、空手の型を取り入れた力強い「繁昌節」や、女性の可憐さを表現する「日傘」、海の男のダイナミックさを感じる「大漁節」などバラエティに富んだ演目で店内も自然と盛り上がる。全ての演目が終わる頃には圧倒的なステージを前に、すっかり放心状態だ。



そして満腹になりながらも最後のデザートまで余すことなく綺麗にいただき、沖縄の伝統に触れる夜を大満足で終えることができたのだった。
味と踊りの竜宮城うらしま
沖縄県那覇市久米2-10-6 新垣ビル2F