「秩序と進歩」や「構築と共生」をめざして
少子化が原因で人口減少社会が到来し、その結果として急速な高齢社会が到来するという予測の中で、資本主義の「構築と共生」へ向かう政策案づくりをどう行うか。
その第一歩とした世代共生論こそ、かねてから提唱してきた「子育て基金」制度の根幹にある注5)。そして「こども家庭庁」が率先して、「世代共生による次世代育成」の実効策に取り組んでほしい注6)。
その未来設計で留意したい軸は8つ想定されるから、どのような社会的課題を優先して、解決に向けて配慮するかに衆知を集めたい(図2)。
次世代育成に何が寄与するか
連載第4回で紹介した人口史観はいわば全体社会像を教えてくれる。少子化とは出生数が減り、年少人口の実数と比率がともに連続して減少する社会現象であるから、その影響は産業、経済、政治、文化、教育、スポーツなどすべての領域で活動を縮減させる方向に作用する。そのため、政府機関が担当領域を決めながら、「社会の存続」を筆頭に個別のデータを揃えて、それぞれのテーマに取り組むことになる。
図2でいえば、論者によっての最重要事項は「個人の自由」であったり、「豊かな生活」の維持であったり、「経済活動」でもありえる。この8点のそれぞれを個別に追究することも可能であれば、「豊かな生活」と「社会的不公平性」との間にあるトレードオフを調べるというテーマも成り立つ。
しかし最終的な判断基準は、それらが「次世代育成」にどのように寄与するかにある。