ミクロな行為がマクロな結果を生み出す

個々の人間は男女のミクロな行為から生み出されるが、その集積としての総人口は全体社会システムを左右する。ミクロな行為とマクロな結果の連関は、古今東西の全ての社会を考える際には常に考慮しておきたい。

日本でも個々の若い世代が日本の将来に期待して、個人生活の行く末を見通せるならば、1960年代の高度成長期に象徴されるように、婚姻率は高まり、出生率も上がり、出生数も増加する。「北風と太陽の比喩」でいえば、若者に将来設計ができる社会の側の「暖かさ」こそ、少子化克服の唯一の「資源」になる注1)。

(前回:政治家の基礎力(情熱・見識・責任感)④:人口史観)

少子化の危機的実態

表1は総務省が2022年4月1日現在で推計した数値であり、年少人口の比率が11.7%まで下がり、48年連続の減少を記録した。また年少人口の実数でも前年よりも 25万人も少ない1465万人まで落ち込み、こちらも41年連続の減少だったことになる。その反面の高齢化率は28.9%で、実数は3600万人を超えた。

政治家の基礎力(情熱・見識・責任感)⑤:少子化と社会保障
(画像=表1 年少人口の総数と比率
出典:2022年5月4日 総務省報道資料、総務省統計局ホームページ(5月15日閲覧)、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

かつて少子化の代表的な指標は合計特殊出生率であったが、最近ではこれに加えて年少人口数と比率が指標として活用され、3指標を同時に点検しないと少子化傾向を正確には把握できなくなった。3指標のうち合計特殊出生率はこの数年1.30~1.40に止まっているが、年少人口数と比率では毎年史上空前の危機的記録が続いてきた。