悪性新生物<ガン>は一貫して上昇
死亡原因の推移をみると、悪性新生物<ガン>は一貫して上昇しており、1981年以降死因順位第1位となっている。
心疾患(高血圧性を除く)は、1985 年に脳血管疾患にかわり第2位となり、2020年は全死亡者に占める割合が15.0%となった。
老衰は1947年をピークに低下傾向が続いたが、2001年以降上昇しており、2018年に第3位に上がり、2020年は全死亡者に占める割合が9.6%となった。これは70歳以上がすでに2850万人超えたこと関連が深い。
脳血管疾患は、1970年をピークに低下傾向が続いている。肺炎は7万8445人で対前年比1万7073人の減少となったが、新型コロナウイルス感染者死亡原因の肺炎との区別がなされていないために、実のところは不明である。
健康日本二一(第二次)
このように、日本人の死因が「がんと血管系」で半数であることをみて、国民の健康づくりとして政治家も国民も何を優先するかを考えることは意味がある。
周知のような生活習慣病の予防、国民の運動習慣の定着、地域社会や職場での正しい健康生活情報の普及、世代ごとに異なる食生活の実行などは当然であるが、ここでは関連して、厚生労働省が過去20年間実践してきた「健康日本21」についての概要をまとめておく(金子、2014)。
厚生労働省は、2012年7月に告示し、2013年4月から10年間の国民の健康を総合的に推進する柱として、『健康日本二一(第二次)』を位置づけた。
これは日本人の健康増進として「個人の生活習慣の改善と環境の整備」の両方を含み、個人の生涯(ライフコース)としての乳幼児期、青壮年期、高齢期という世代はもちろん、男女(ジェンダー)、居住環境(コミュニティ)、労働環境(職場)にも配慮している。標語は、「すべての国民がともに支え合い、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現」とされている。
日本史のなかでは1950年まで結核が死因の筆頭であったが、ペニシリンなどの画期的な薬剤効果により1955年以降は急減した。
代わりに第2位であった脳血管疾患が1980年まで第1位を占めていた。肺炎も1950年からは低い状態で推移してきたが、高齢化が鮮明になった平成に時代になると、脳血管疾患の低下とは反対に上昇を続けて、2010年から第3位となり、その後5位に落ちた。
まとめると、ガンが日本での死因第1位は40年間以上続き、そして30年以上心疾患の死亡順位は第2位を保ってきたことになる。