経済成長と乳児死亡率との間には逆相関

ちなみに2019年段階の世界193か国では、乳児死亡率の最高が中央アフリカの81‰であり、最低はサンマリノ1.50‰であった(世界銀行「世界の乳児死亡率 国別ランキング」(2022年2月更新)。

187位の日本は1.8‰であり、よく用いられる比較対象国のうちインドが27.0‰、アメリカが5.4‰、ロシアが4.4‰、フランス3.4‰、イギリス3.6‰、ドイツ3.1‰、スウェーデン2.1‰になっていた。世界平均は27.4‰であり、日本における「乳児死亡率」の低さは世界に誇れる成果である。

これらの事例からすれば、経済成長と乳児死亡率との間には逆相関を想定することができる。すなわち、経済成長による国民生活水準の向上と乳児死亡率の低下の間には正の相関がみられるのである。

誕生データの後は、死亡に関する統計的事実をまとめておこう。

日本人の死亡原因

厚生労働省による「人口動態総覧」によると、2021年の出生数は84万2879人で、前年に比べて2万9786人減少した。一方、死亡数は145万2289人で、戦後最多であった前年の138万4544人よりも6万7745人増加した。その結果、自然減は60万9392人となった。

このように出生数の減少と死亡数の増大が同時に進行しているのが令和の日本社会の特徴の一つである。

2020年の死因順位をみると表6のようになる。

政治家の基礎力(情熱・見識・責任感)④:人口史観
(画像=表6 主な死因と死亡率(2020年)
出典:厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
(注)死亡率は人口10万当たりの数値、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

第1位は悪性新生物<ガン>で 37万8356人(全体の27.6%)であり、第2位は心疾患(高血圧性を除く)で20万5518 人(同15.0%)、 第3位は老衰で13万2435人(同9.6%)、第4位は脳血管疾患で10万2956人(同 7.5%)となった。