人口大国は「ローバル」志向

2022年3月3日の国連総会ロシア非難決議で「棄権」(abstention)をしたのが、中国、インド、バングラデシュ、パキスタンであり、4月7日に実施された国連人権理事会におけるロシアの理事国資格を停止する総会決議で、「棄権」に回ったインド、インドネシア、パキスタン、ナイジェリア、ブラジル、バングラデシュ、メキシコの7国はいずれも人口大国であることに留意したい。

これらの国ではそれぞれの人口数を背景にして、グローカルな判断ではなく「ローバル」な判断が優先されたと見ておきたい。なお「ローバル」(lobal=local+global)の意味については、連載第2回目を参照してほしい注4)。

この11位までの人口大国だけで見ると、「ロシアを非難決議」し「常任理事国停止」を求めた国は、アメリカと日本だけであった。この国連の結果をどう見るか、

ほとんどの分野で恒常的に日本の判断基準となり、上記の国連の2決議でも同調したイギリス(6850万人)をはじめとしたドイツ(8390万人)、フランス(6560万人)、イタリア(6030万人)、カナダ(3840万人)、オーストラリア(2610万人)、スウェーデン(1020万)など人口が5000万人前後の国々と、表1の人口大国との価値観の相違もまたロシアによるウクライナ侵略戦争への対応により歴然とした。

その意味で、敗戦時は7200万人だった 日本において、1947年から49年生まれの団塊世代の800万人(50年生まれまでを算入すれば1000万人を超える)が人口増加に寄与した意義は限りなく大きい。教育、学術、芸術、スポーツ、労働、産業経済、東京都市圏の膨張など団塊世代への評価は分かれるが、この世代による膨大な消費力を感じさせるに十分な高度成長期以降の歴史が刻まれ、それは平成時代を経て、令和の時代で終盤を迎えた。

第二次世界大戦を国別人口数で考える

日本史では、1950年の総人口は世界第5位の8400万人であった(表3)。人口論的にいえば、太平洋戦争は8000万人の日本がアメリカ、ソ連、中国合計で8億人の国々と戦かったことになる。あるいは日独伊合計で2億人が、イギリス5100万人と4000万人のフランスを加えた5つの連合国、人口総計9億人との戦いを行ったのが第二次世界大戦となる。

政治家の基礎力(情熱・見識・責任感)④:人口史観
(画像=表3 1950年の世界人口上位5か国
出典:総務省統計局『世界の統計 2016』、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)