社会システムは人口構造が土台
要するに、国の政治、行政、経済、国民のものの考え方、精神構造などすべてに人口変動が影響する。これが人口史観の特徴であり、私のいう「少子化する高齢社会」の日本は世界の中でその先頭を走っている。それに適切な対処をすることも政治家の主要任務の一つになる。
建築物と同じで、近代化の過程にある社会システムも人口という土台が大きく変わり、そこでの社会関係は神を意識した聖なる存在としての「人と人」ではなく、金儲けや犯罪すれすれの動きも含む世俗化を始める。専門用語でいえば、近代以降では「何であるか」という帰属性よりも、「何をしたか」という業績性が重視される社会が生まれたと見るのである注2)。
また、国家や会社や地域社会よりも個人そのものが重視され、その人権が最優先して守られる。社会的現象や個人のニーズ充足についても、普遍性よりも個別性に特化することが多くなる注3)。では、世界の人口動態から概観しよう。
世界人口の動向
最初に世界人口の現状についての情報をまとめる。「世界人口UNFPA版」(2022)によれば、表2のような上位11カ国が登場する。3位のアメリカと11位の日本を除けば途上国がほとんどであり、これに中国とロシアが加わっている。
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(画像=表2 2022年の世界人口の国別順位
出典:「世界人口UNFPA版」(2022)、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
出典:「世界人口UNFPA版」(2022)、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)