「再エネ」装置が「再生不可能な自然」を増やす
私は、25年後に壊れた「再エネ」装置の解体・廃棄の責任の所在について危惧してきた。仮に「鉱害法」と同じであれば、「無資力賠償義務者」が当然に存在することが予想される。
さらに石炭企業とは異なり、洋上風力発電やメガソーラーに代表されるように数多くの外国資本の参入が予想される現在、25年後の「賠償義務者」が外国資本という事例は十分予想されることへの配慮もまた、北海道の「脱炭素」を念頭にした「再エネ」装置建造では必要ではないか。これを事前に怠った展望のみでは、いわゆる「地産地活」(:17)はありえない注8)。
日本の「鉱害史」を学ぶと、「脱炭素社会」に向けて「再エネ」装置をひたすら建造するだけの姿勢では、25年後が不安になる。というのも、これは石炭の炭層だけを掘り進めるだけの作業と類似するからである。この点がもっと深く論じられないと、期待される「北海道の優位性」も喪失する。なぜなら、「再エネ」の拡大による「意図せざる効果」として「再生不可能な自然」が増えるのを、北海道民は受け入れないからである。
3. 資源エネルギー庁『廃棄等費用積立ガイドライン』2021 年9月公表
「再エネ」のうち太陽光発電事業は、参入障壁が低く、様々な事業者が取り組むことに加え、事業主体の変更が行われやすい。これは石炭で言えば、地場の零細企業でも「黒ダイヤ」を求めて坑道を掘っていた時代を想起させる。
資源エネルギー庁『廃棄等費用積立ガイドライン2019』(以下、『廃棄ガイドライン』と略称)では、太陽光パネルに鉛・セレン等の有害物質が含まれていることなどから、発電事業の終了後、太陽光発電設備の放置・不法投棄はともかくも懸念されている。
そのため、太陽光発電設備の解体・撤去及びこれに伴い発生する廃棄物の処理(以下「廃棄等」または 「解体等」)は、発電事業者の責任の下、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」)等に基づく実行が求められてきた。
なお、「3.11」のあとに制定されたFIT 制度では、適正処理を促すという観点も踏まえ、事業用太陽光発電(10kW 以上)については、制度創設以来、廃棄等に必要な費用(以下「廃棄等費用」という。)を想定した上で、その廃棄等費用を織り込んで調達価格を決定してきた注9)。